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2003年 3月
タテジマヤッコ Genicanthus lamarck (Lacepede, 1802) (スズキ目キンチャクダイ科)

 タテジマヤッコ(キンチャクダイ科タテジマヤッコ属)は,日本周辺では伊豆諸島以南の南日本沿岸の水深30m以浅のサンゴ礁や岩礁域に生息し,インド・西部太平洋域に広く分布する.雌雄で体色や縞模様に明瞭な差がある.写真個体のように,雄は腹鰭が黒いこと(雌では白い),尾鰭の両縁辺が白い(雌では黒い),体側にある4本の縦帯のうち,最上部の1本は他の縦帯と同程度に細いこと(雌では太い)で,雌と容易に識別できる.本種は雌性先熟の性転換を行なうこと,少夫多妻の乱婚型の繁殖様式であることが知られ,その繁殖生態は比較的よく研究されているようです(島田,1997;モイヤー,1999).

参考文献
モイヤー,J.T.1999.のぞいて見よう海の中.海游舎,東京.236 pp.
島田和彦.1997.キンチャクダイ科.岡村 収・尼岡邦夫(編),pp. 402-412,日本の海水魚.山と渓谷社,東京.

写真標本データ:BSKU 61060,♂,2002年11月21日, 高知県大月町柏島で採集(採集者:山川 武).

(遠藤広光)


(C) BSKU Laboratory of Marine Biology, Kochi University