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2003年 4月
フウリュウウオ Malthopsis lutea Alcock, 1891 (アンコウ目アカグツ科)

 フウリュウウオ属(Malthopsis) は,体長6〜10cm 程度の小型の底生性魚類で,アンコウ目アカグツ科に分類されます.多くのアカグツ科魚類の体型は円盤状ですが,本属は三角形であるため,本科の他属とは容易に識別できます.吻端下面には窪みがあり,極めて短い誘引突起と擬餌状体(アンコウ類のいわゆる釣り竿で,背鰭の第1鰭条が変形したもの)が収まっています.アカグツ類は胸鰭を使って,ゆっくりと海底を歩き,貝類や甲殻類を食べます.
  日本で見ることの出来るフウリュウウオ属は5種で,フウリュウウオのほか,カギフウリュウウオ M. mitrigera,ワヌケフウリュウオ M. annulifera,コワヌケフウリュウウオ M. jordani,そしてゴマフウリュウウオ M. tiarella です.いずれの種も水深およそ100〜700mの深海底に生息し,日本では南日本の太平洋岸沖から東シナ海にかけて分布します.土佐湾には5種すべてが分布し,高知市御畳瀬魚市場の大手繰り網(沖合い底びき)や調査船での底曳き網調査で時折採集されます.

写真標本データ:BSKU 62262, ca. 8 cm SL, 2003年1月13日, 高知県高知市御畳瀬魚市場で採集(写真は背面).

(遠藤広光)


(C) BSKU Laboratory of Marine Biology, Kochi University