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2007年7月
ナガレメイタガレイ Pleuronichthys sp. (カレイ目カレイ科)
 カレイ科(Family Pleuronectidae)は,世界各地の熱帯から極海まで広く分布します.本科は世界でおよそ2360種(Nelson, 2006),日本では1733種が報告されています.水産重要種が多く,刺身,煮付け,干物,加工用などに用いられます.
 ナガレメイタガレイは底生生活を送り,ゴカイや端脚類を食べます.体は菱形で,頭は小さく両眼は接近して飛び出します.また,両眼間には前後に向いた棘があります.ナガレメイタガレイの体はすべりやすいため漁師や調理人が眼の間をつかむことが多く,その棘が刺さり「痛っ」と言ったことからメイタガレイ(目痛鰈)とされたそうです.

 メイタガレイがホンメイタ,ナガレメイタガレイがバケメイタと呼ばれ,これら2種はよく似ています.しかしメイタガレイには頭部背縁を走る側線の前方部に分枝がなく,ナガレメイタガレイには分枝があります(Nakabo, 2002).また,生息域も異なり,メイタガレイが水深100m以浅の砂泥地に,ナガレメイタガレイが150m付近の比較的深場に生息します.これら2種は分類学的な問題を抱えているため,ナガレメイタガレイには未だ学名が与えられていません.

参考文献
松浦啓一,編.2005.魚の形を考える.東海大学出版会,東京,286 pp.
Nakabo, T. 2002. Fishes of Japan with pictorial keys to the species second edition. Tokai University Press, Tokyo. 1xi+1748 pp.
Nelson, J.S. 2006. Fishes of the world. 4th edition. John Wiley & Sons, Inc., New York. 600 pp.

写真標本データ
BSKU 90272,141.6mm SL,2007年5月16日,土佐湾中央部,水深120m,調査船こたか丸採集,写真撮影:福田絵美

(伊藤蕗子)


(C) BSKU Laboratory of Marine Biology, Kochi University