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2017年3月の魚

カワビシャ Histioperus typus Temminck et Schlegel, 1844 (スズキ目カワビシャ科)

 カワビシャ科魚類は体高が高く,よく側扁し,鱗や皮が硬い.また、頭部の側目っから背面の諸骨が皮膚に被われず露出する特徴をもつ.本科は世界で2亜科7属13種が知られ,そのうち日本周辺には4属4種が分布しています(波戸岡・柳下, 2013; Nelson et al., 2016).このうち,ツボダイ Pentaceros japonicus Steindachner, 1883とクサカリツボダイ Pseudopentaceros wheeleri Hardy, 1983 は食用とされ味がよく,後者は北太平洋の海山域でまとまって漁獲される.カワビシャは日本では青森以南に,西太平洋からアフリカ東沖やアラビア半島南岸のインド洋の熱帯から温帯域まで広く分布し,沿岸から沖合の水深 40–400 mに生息する.写真の大型個体は,土佐湾内での大手繰り網(およそ水深200–400 m)で,小型個体は土佐湾西部の佐賀漁港の底曵き網(およそ水深100 mまで)で漁獲されたもので,比較的稀である.本種は日本産の他の3種とは背鰭棘条数が4で,そのうちの第3,第4棘が著しく長いこと(第3棘が太く,第4棘は細い),臀鰭棘数が3であること,成魚では体に薄く暗色でやや傾いた横帯があることなどで容易に識別できる.小型個体は体と鰭が黄色みを帯びて,体側には虫食い様の黒色の線と点をもつ.本種はシーボルトの時代に長崎で標本が採集され,「日本動物誌 Fauna Japonica. Pisces」の中でTemminck とSchlegel により記載された(原記載の図).

参考文献

波戸岡清峰・柳下直己. 2013. カワビシャ科.中坊徹次(編),pp. 1016-1017, 2029. 日本産魚類検索 全種の同定.第三版.東海大学出版会,秦野.
Nelson, J.S., T.C. Grande and M.V.H. Wilson. 2016. Fishes of the world. 5th ed. John Weily & Sons, Hoboken. xli+707pp.
Temminck, C.J. and H. Schlegel. 1844. Piscies. In: Fauna Japonica, sive descriptio animalium quae in itinere per Japoniam suscepto annis 1823-30 collegit, notis observatioibus et adumbrationibus illustravit P. F. de Siebold. Parts 5-6: 73-112.

写真標本:BSKU 106455, 151 mm SL, 2011年12月14日,高知市御畳瀬魚市場,幸成丸(大手繰り網);BSKU 119918, 49.5 mm SL, 2016年6月3日,高知県幡多郡黒潮町佐賀漁港、底曵き網.

(遠藤広光)


(C) BSKU Laboratory of Marine Biology, Kochi University