高知県の森(企画番号2-2)
高知県は、森林面積が県土の84%という、日本一の森林県です。しかし、その内の66%はスギやヒノキといった樹木から構成される人工林のため、天然林の面積はそれほど多くはありません。とは言え、アコウやビロウといった亜熱帯性の樹種から、シコクシラベやダケカンバといった亜寒帯性の樹種まで、その標高差に応じて高知県には実に多様な植物、森林タイプが見られます。ここでは、高知県の森林の分布と特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。
森林は、主に標高差によってその姿が移り変わってきます。高知県で最も広い面積を占めるのは常緑広葉樹が優占する暖温帯林です。太平洋に面した高知県南部の海岸沿いから北に向かって標高900m付近にまで見られます。常に黒潮の影響を受け、冬でも温暖な高知県の海岸沿いには、タブノキを中心にホルトノキ、ヤブツバキ、タイミンタチバナ、ヒメユズリハなどの樹木が現れます。また、室戸岬や足摺岬には、針葉樹のナギを始め、アコウやビロウといった亜熱帯性の樹木も出現してきます。海岸沿いから標高600mまでの内陸部にかけてはスダジイ(コジイ)やツブラジイといったシイ類が優占します。その他、アカガシ、ウラジロガシなどのカシ類、ヤマモモ、ヤブツバキ、クスノキ、ヒサカキ、モチノキといった多種類の常緑広葉樹が混成します。
標高が500mを越える辺りからは、シイ類に変わり、アカガシやウラジロガシといったカシ類が多くなり、モミやツガの針葉樹も混じるようになります。広葉樹は、カシ類の他に、イスノキ、シキミ、サカキ、ハイノキなどの常緑広葉樹に、シデ類、カエデ類といった落葉広葉樹も現れます。
標高が900m〜1,200m前後のところは推移帯林と呼ばれる暖温帯と冷温帯が接する区域で、モミやツガの針葉樹が主体ですが、暖温帯を代表するカシ類と冷温帯を代表するブナも混成して見られる針広混交林になります。また、一度人間の手が入った後の森林(二次林)には、コナラ、クリ、シデ類などの落葉広葉樹が中心となり、場所によりミズメやヤマザクラも多くなります。
標高1,200mを超える高山地帯では、ブナが優占する冷温帯林になります。ブナの他には、シデ類、カエデ類、ヒメシャラ、ミズナラ、ミズメなどの落葉広葉樹が混成します。針葉樹は上部のところによりウラジロモミを主体とした林が見られ、下部にはモミ、ツガが混成します。尾根などの乾燥したところには、ヒノキ、ゴヨウマツ、コウヤマキ、ツガといった針葉樹が、ツツジ科のホンシャクナゲ、アケボノツツジなどを伴って出現します。
それより上、標高1,800m以上の四国山地の最上部には、亜寒帯の樹種であるシコクシラベやダケカンバが出現します。いずれも山頂部に向かうにしたがって樹高が低くなっていきます。また、稜線沿いには、ササ原やツツジ科のコメツツジ、ダイセンミツバツツジなどの低木林が広がり、他の高山植物とともに、山岳の景観に彩りを添えています。
このように、高知県には、大きな標高差による垂直分布の変化によって、実に様々な森林が広がっています。もし高知県の森に興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非一度高知に足をお運びください。
参考・引用文献: 土佐森林浴の森 50選 高知県(1988年)


