メニュー
ご案内PDF
記念講演会
展示コーナー
国立科学博物館
高知大学 生涯学習部門
冒険!発見!くろしおの旅
主催:国立科学博物館
高知大学
後援: 高知県、高知市
お問い合せ:03-5777-8600

巨大ミミズとヤイロチョウ(企画番号2-8)

シーボルトミミズ(図−1)
シーボルトミミズは日本の固有種で、中部地方以西の森林に住み、腐った落ち葉や、腐植に富む表層の土を食べて大きくなります。成熟すると長さ30cm、重さ30g以上にもなり、地表または土壌表層で活動するミミズとしては日本最大です。その大きさと、青びかりのする色が人目をひくようで、高知県、愛媛県、宮崎県などでカンタロウという共通の愛称をもらっています。

目立つのは外見だけではありません。卵の期間を含めると足かけ3年の命ですが、その間に2度の長距離集団移動を行います。1度目は卵からかえった年の秋、夏の間活動していた山腹斜面から谷沿いの越冬場所へ、2度目は越冬から目ざめた2年目の春、谷沿いの越冬場所から産卵を行う山腹斜面へと、数十メートル規模で地表を這って移動します。表層性のミミズの多くが、卵からかえった場所をはなれることなく、体重1g以下で1年目に親になり、産卵すると冬を待たずに死んでしまうのとは大きな違いです。

上に述べたような特徴がシーボルトミミズの種としての生き残りに、どのように関わっているのか、知りたくなるところです。

ヤイロチョウとシーボルトミミズ(図−2、3)
高知県の県の鳥、ヤイロチョウはスズメとハトの中間くらいの大きさの夏鳥で、東南アジアの越冬地から5月に日本の西南部に渡ってきます。主に常緑広葉樹林の地表に巣を作り、森林の地表で活動するミミズの量が最大となる6月から7月にかけて、それらのミミズをひなの餌として子育てをします。
シーボルトミミズは、ずば抜けて大きな体をしていますから、シーボルトミミズの居るところでは、ヤイロチョウのひなの餌となる地表性のミミズ全体の重さに占めるシーボルトミミズ割合が、最も大きくなることが多いと予想されます。そう考えると、ヤイロチョウがシーボルトミミズを実際に捕まえているという事実(図−2)と合わせて、ヤイロチョウの繁殖地とシーボルトミミズの分布域が見事に重なっていること(図−3)を、単なる偶然として見過ごしてしまうわけにはいかなくなります。

とは言えヤイロチョウのひなは、長く、太く生長したシーボルトミミズの成熟個体を、果たして呑み込むことができるのでしょうか?
これは、ヤイロチョウの生き残りにとっても、シーボルトミミズの生き残りにとっても大きな問題になりそうに思えます。