深海艇への挑戦(企画番号4-1)
○ 海洋コアってなに?
海底に広く堆積している砂や泥などを柱状に掘り抜いたものです。岩芯(がんしん)とも呼びます。コア(core)とは、地球の中心核を指す場合もありますし、物事の核心、中心のことを指す言葉として使われていますが、地球科学の分野では海底や湖底などから円柱状に堀り抜いた堆積物試料のことを言います。○ コアはどのくらいの太さ?
おおむね直径6cm〜12cmの円柱状です。日本の研究船で一般に利用されるピストンコアラーによって採取されるコア径はほぼ7〜8cmです。深海掘削によってボーリングされるコアの外径はおよそ6.5cmです。重力式(グラビティー)コアラーやフランスが有するジャイアントピストンコアラーでは、径10〜12cmのコアを採取することが出来るため、その後の分析の際にたくさんの試料が必要なときには径の大きなコアは重要となります。
○ ピストンコアラー
海洋底、特に深海底では、大気からの風成塵(ダスト)や陸域から河川などによって運ばれる砕屑物、および、海洋中で生産される植物・動物プランクトンなどの生物遺骸や化学物質などがゆっくりと降り積もり、長い期間におよぶ堆積物が形成されています。ピストンコアラーは、そのような深海底の堆積物を乱さず、かつ連続的に採取する事ができる観測機器です。数メートルから数十メートルの長さのコア試料を採取して、それらを使って過去の気候変動を研究することによって、数万年から数十万年間にわたる地球環境変動の歴史を解明することができます。
写真4-1-1。四国海盆北部から採取された海洋コアの断面の写真。1の最上部が海底面である。数mの長さで採取されたコアは、船上で約1mごとに切断してから縦に半裁される。例えば、1の最下部と2の最上部が一致する。
○ どうやって採るの?
船の上からピストンコアラーを使って数10mのコアを採取する様子をアニメーションで紹介します。http://www.kochi-u.ac.jp/marine-core/WWWCMCR_J/About_CMCR/pcore.swf
写真4-1-2。
白鳳丸KH06-3次航海におけるピストンコアラー投入の様子
○ 深海掘削研究の歴史〜DSDP, ODPからIODPへ〜
海洋底の科学掘削研究は1960年代に始まりました。そもそものきっかけは、モホール計画と名付けられたプロジェクトで、マントルまで堀抜こうという壮大な計画でした。残念ながらその計画ではマントルまで到達することはできませんでしたが、地球科学的には様々な革新的な知見が得られてきました。特に、1966年から米国がDSDPとして始めた深海掘削計画では、グローマーチャレンジャー号が活躍し、海洋底拡大説やプレートテクトニクスの実証に大きく貢献しました。1985年からは日本や欧州各国が正式に加わった国際深海掘削計画(ODP)が始まり、2003年までの19年間にジョイデス・レゾリューション号を使って、世界中の海洋底を掘削し、恐竜絶滅の謎を解明したり、地球環境変動を詳細に復元するなどの教科書を書き換えるような科学的成果を挙げてきました。2003年からは、日本と米国がイーブンパートナーとして主導して新たに展開してきている統合国際深海掘削計画(Integrated
Ocean Drilling Program:IODP)が新たにスタートしました。
○ IODPにおける深海掘削船による海底ボーリング
IODPとは、3つのタイプの異なる掘削船(プラットフォーム)を使って深海底を何千メートルも掘削して、地球環境変動や地球内部変動などの様々な科学テーマについて研究する国際プログラムです。日本は、それまで科学掘削には用いられてこなかったライザー掘削方式を取り入れた地球深部探査船「ちきゅう」を新しく建造し、2007年10月から再開される国際共同研究に向けて各種試験を行っています。ライザー掘削方式は、2重になった管をちきゅう船上から海底までつなげて、泥水(でいすい)を循環させながら堀くずを船上まで回収していきます。それまでのノンライザー(素堀り)方式では到達できなかったマントルまで、将来堀抜くことを目指しています。また、米国は、これまで活躍していたジョイデス・レゾリューション号を一部改造して2007年後半からIODPでの調査を再開する計画です。○ どこまで掘ることが出来る?
これまでの深海科学掘削で最も深く掘った記録は、ジョイデス・レゾリューション号が掘削した海底面下2,111mです。「ちきゅう」では将来7000mまで掘って、人類未到のマントルまで到達することを目指しています。○ IODPと高知大学
高知大学に2003年に設置された全国共同利用研究施設である「海洋コア総合研究センター」は、巨大なコア保管庫を併設した最先端コア研究施設です。この施設は高知大学と海洋研究開発機構によって「高知コアセンター」として共同運営されており、また、米国のテキサスA&M大学、ドイツのブレーメン大学とともに IODPのコア保管解析拠点(コアレポジトリー)としても位置づけられています。<参考図書>
・ 「地球の内部で何が起こっているのか?」 平朝彦、徐垣、末廣潔、木下肇著、光文社新書、850 円、ISBN4-334-03314-8、2005
年
<関連リンク>
高知大学海洋コア総合研究センター:http://www.kochi-u.ac.jp/marine-core/
高知コアセンター:http://www.kochi-u.ac.jp/marine-core/kcc/ja/index.html
海洋研究開発機構:http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/index-j.html
海洋研究開発機構高知コア研究所:http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/kochi/index.html
東京大学海洋研究所:http://www.ori.u-tokyo.ac.jp/
学術研究船白鳳丸:http://www.ori.u-tokyo.ac.jp/facilities/hakuhomaru.html
地球発見(ChikyuHakken):http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/index.html
ちきゅうキッズ:http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/Kids/index.html
IODP公式サイト:http://www.iodp.org/
日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC):http://www.j-desc.org/
南海トラフ地震発生帯掘削サイト:http://nantroseize.com/index.htm




