平成18年度  高知大学SPP事業

平成18年度 高知大学SPP(サイエンス・パートナーシップ・プログラム)事業

平成18年度、高知大学理学部と高知南高校はSPP事業において、高校生に物質科学における物理・化学・生物分野の密接な関係や不思議さ・面白さ、また分野にまたがる幅広い基礎知識の必要性を理解してもらい、物質の科学への興味を喚起し、敬遠されがちな理科科目の履修を促すことを目的とし実験実習を中心とした教育連携講座を開催しました。 高知南高校の生徒さんをメインに安芸高校・高知工業高校・高知西高校・山田高校の生徒さん、総勢19名が参加しました。

総合研究センター(海洋コア総合研究センター・遺伝子実験施設)では夏休みを利用して深海底の環境変動の記録を明らかにしたり、我々が普段目にすることのできない生態系の微生物の姿や痕跡を知ることによって、地球環境と生態系に潜む遺伝子資源について考える体験合宿を行い、全国各地から総勢19名が参加し、全員が修了証書を授与されました。

SPP事業とは

サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(以下「SPP」という。)は、学校、教育委員会等管理機関と、大学・科学館等との連携により、児童生徒の科学技術、理科・数学(算数)に対する興味・関心と知的探究心等を育成するものです。

教育連携講座とは

大学、研究機関等が主体となって、学校もしくはその管理機関と連携しつつ、当該大学、研究機関等の施設において、所属する研究者等の研究内容等に関する学習等を行うものです。この講座では、児童生徒の自ら学ぶ意欲や思考力、表現力、判断力を培うため、実験、観察等の学習を積極的に取り入れることとしています。また、学校は、教育活動に適切に位置付けて、指導上のねらいを明確にして参加するとともに、実施後に児童生徒による意見発表や討議、レポート作成等を取り入れることにより、成果を学校の教育活動に活かすこととしています。

平成18年度サイエンスセミナー(高知大学関係)

  授業日 時間 授業内容
第1回 8月4日(金) 9:30

科学と実験

物理系・化学系・生体物質系それぞれの「実験研究」の事例を取り上げ、科学における実験の重要性、研究がどのように行われたか、研究成果が社会にどのように還元されているかなどを、学習する。また、これから行う実習の一般的注意事項を受ける。

第2回 8月4日(金) 13:30 光速および偏光に関する実験

光の速度の測定実験により,光速が透過媒質により変化することを学ぶ。また,光の偏光実験により,光の偏光の性質について学ぶ。実験終了後,実験レポートの作成を行う
第3回 8月8日(火) 9:30 超伝導を探る

超伝導の2つの基本的な性質、すなわち、完全導電性(電気抵抗ゼロ)と完全反磁性(超伝導体内部で磁束密度がゼロ)を、銅酸化物高温超伝導を用いて体験し、固体の中の多くの電子でなぜこのようなことが起こるのか、超伝導現象への理解を深める。
第4回 8月8日(火) 13:30 圧電体セラミックスを用いたスピーカーの製作

圧電体セラミックス素子を用いてスピーカーの製作を行う。携帯電話など身近に利用されている最新のエレクトロニクス材料であるセラミックス圧電体の機能を、高校で学ぶ結晶・イオン等の概念から考える
第5回 8月9日(水) 9:30 物質変換科学講座の紹介と研究室見学

物質変換科学講座で行われている教育や研究の概要につい学習する。また,物質変換科学講座の各研究室を廻って,実験の様子や研究装置等を見学し、どのような研究を行っているかについて研究室教員や大学院生・卒論生から説明を受ける。
第6回 8月9日(水) 13:30 混合物の分離に挑戦してみよう

分離すなわち「物を分ける」技術は、化学の研究や工場などの製造工程における分離精製、環境浄化にとっても極めて重要かつ私たちの日常生活でも生活の知恵として必要である。いろいろな分離法の原理を解説しながら、分離操作の実験を通して体験する。
第7回 8月10日(木) 9:30 最先端の分析機器を使って化学物質を調べる

未知の化学物質の反応や性質を調べるために必要不可欠な、様々な分析機器の原理を解説しながら、実際に最先端の機器を使って化学物質を調べる実験を行い、化学物質の性質を理解する。
第8回 8月10日(木) 13:30 細胞の分化のしくみ

「細胞が分化する」とはどういうことか。受精卵から体の形ができる仕組みを考えながら,遺伝子と細胞分化の関係について学習する。その後,関連したごく簡単な実験を行う。実験では,遺伝子が働く様子を目で見る(組織中の特定のmRNAを検出する)手法を学ぶ。
第9回 8月11日(金) 9:30 PCR法を用いた遺伝子DNAの増幅と電気泳動解析

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法とは,ごく僅かなDNA試料から,特定のDNAのみを特異的に100万倍程度にまで増幅させる技術である。犯罪捜査や,加工食品における遺伝子組替作物の使用の有無,最近ではSARS(重症急性呼吸症候群:新型肺炎)の診断などにも用いられており,現在の分子生物学において欠くことのできない技術である。本実習では遺伝子の構造・PCR法の原理を理解した後,実際に自分の髪の毛から遺伝子(チトクロームb遺伝子)を増幅,電気泳動によってDNAの増幅を視覚的に確認する実験を行う。この実験はDNAの個人情報に関する部分を含むために,その周知,確認を十分に行った上で実施する。
第10回 8月11日(金) 13:30 天然物化学を考える

自然界において生物が生産している芳香をもつエステルを実験室で化学合成する。また,ホタルなどの化学発光を,実験室で観察し,生命の神秘について考える。
  8月29日(火) 16:00 修了認定

授業時間数の2/3以上の出席とレポートの評価により修了認定を行い、修了証書が授与されます。

 

サイエンスキャンプとは

先進的なテーマに取り組み、最先端の研究施設・実験装置等を有する大学・公的研究機関・民間企業の研究所が、夏休み・冬休み・春休みの3日間高校生を受け入れて、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、エネルギー、製造技術、(宇宙・海洋等の)フロンティア、地球科学などの科学技術分野において、研究開発の第一線で活躍する研究者・技術者による直接指導をおこなう、本格的な実験や実習を主体とした、科学技術体験合宿プログラムです。

科学の力で地球の未来を探る〜遺伝子資源と地球環境〜

日程 8月19日(土)午後1時30分〜8月21日(月)午後2時 2泊3日
内容

A.「海洋コア」コース

深海底から海洋コアを採取する方法や深海掘削の概要、コアを用いた地球環境変動などの研究例を学びます。さらに、海洋コアの観察やX線を使った内部構造観察を実習します。また、氷河時代の海の環境を探る手がかりとして、堆積物中から微少なプランクトンの化石(微化石)を取り出して顕微鏡観察を行うとともに、それらの酸素同位体比の測定を行います。

B.「遺伝子資源」コース

講義では、生態系に生息する様々な微生物とその利用について学びます。実習では、土壌や植物、海底泥など様々な試料から微生物や遺伝子を分離して、その姿を知ると共に遺伝子資源の利活用のために重要な生物学的、分子生物学的な基本技術についても学びます。微生物の単離、DNAの抽出や増幅、DNAの塩基配列の解析によって生物種を同定したり、アミノ酸配列から予測される遺伝子の同定など、コンピュータを利用したDNAデータベースの活用法などを体験します。