農学部は、平成19年度に学部改組を行います。平成18年度までの5学科制(暖地農学科、森林科学科、栽培漁業学科、生産環境工学科、生物資源科学科)を、平成19年度から1学科8コース制とし、従来の5学科に対応する暖地農学、森林科学、海洋生物生産学、流域環境工学、生命化学の5コースに、新しく食料科学、自然環境学、国際支援学の3コースを加えた全8コースに再編します。 
 入学者選抜方法は、一般選抜(前期日程,後期日程)を学部一括で実施して、推薦入学 I(森林科学コースのみ)と推薦入学 II(全8コース)はコース別に行います。一般選抜による合格者は、2年次に志望コースを選択できるカリキュラム体制をつくりあげました。従来の入学定員、センター試験教科・科目、個別学力検査等の内容は、受験者の負担増や不利益にならないように配慮し,変更しましたので注意して下さい。
 今回の改組を行った理由は、私達の社会が抱える環境問題や食料問題が複雑になり、農学部では、これまで以上に安全な食料を確保し、環境を保全して、生物資源を有効に利用することを目標にした教育や研究が求められているからです。そこで農林水産業の区分けに基づいていたこれまでの5学科を、1学科8コースに再編して、より柔軟な教育システムを作り上げ、多様化した社会の要請に応えるために改組を行います。専門分野の入口をコース毎に分けて行う推薦入試で入学しても、一年間は様々な分野の基礎を学びながら専門分野に移行する準備を行います。また、学部一括で行う一般選抜で入学すると、一年次の学習を通じて自分に適した専門分野を見極め、二年次に進路の選択をする教育システムです。



改組前(入学定員)
学部 学 科 (入学定員)


暖地農学科 (40人)
森林科学科 (30人)
栽培漁業学科 (30人)
生産環境工学科 (30人)
 流域環境工学教育コース
 生産環境工学教育コース
生物資源科学科 (40人)
改組後(入学定員)
学部 学 科
(入学定員)
コース





(170人)
暖地農学コース
海洋生物生産学コース
食料科学コース
生命化学コース
自然環境学コース
流域環境工学コース
森林科学コース
国際支援学コース


     

多様なコースと新領域教育を展開します!

 多様化した社会の要請と学生の進路に対応したカリキュラムを持つ8つのコースを設置します。暖地農学、海洋生物生産学、生命化学、流域環境工学、森林科学の各コースは、改組前の5学科(暖地農学科、栽培漁業学科、生物資源科学科、生産環境工学科、森林科学科)の教育カリキュラムを改編しました。新たな3コースのうち食料科学コースでは、安心・安全な食料と付加価値の高い食品の開発・生産に必要な知識と技術を学びます。国際支援学コースでは、熱帯・亜熱帯諸国を中心とする発展途上国の第一次産業を支援するために必要な知識と技術を学び、現場体験を重視するために、海外の大学との国際交流活動を教育システムに取り込んでいます。自然環境学コースでは、自然環境の幅広い理解と、自然と人間活動の共生のための知識と技術の習得を目指します。
 各コースには明確な学習目標を設定し、将来の進路を強く意識した教育プログラムを提供します。個々のコース毎に開講される科目と、幅広くコース横断型で開講される科目からなり、履修モデルに沿った様々な科目を受講することで学習目標を達成します。全教員が複数のコースを受け持ち、教育内容を状況に応じて柔軟に変化させ、改善できる体制になります。このようにして学生が望む教育プログラムを提供すると同時に、社会状況の変化にも対応できる、高知大学にしかできない特色のある農学教育を実践します。


 

学生が専門分野の適切な選択を行えます!

 1年次には、全学の共通教育と専門の導入教育を受けることを通して、専門への理解を深め、2年次に希望のコースを選択します。4年次には、8つのコースの枠に制限されることなく、学生の履修歴に応じて希望する教員のもとで、卒業論文に取り組みます。このように8コース制のもとで柔軟な教育プログラムを設計し、多様な出口に対応できる人材育成を目指します。将来の進路に応じた教育科目を自由に選択する機会を学生に与えて、農学分野で必要な基礎知識と多様化する社会の要請に応じた専門知識を身につけられる体制を作り上げました。高知大学農学部に入学した学生は、社会に存在する問題点を見出し、現状を分析して解決策を提案し、問題解決に導く実行力を持つ人材として巣立っていくものと考えています。


 

現場主義とコース横断型カリキュラムを作ります!

 新しい農学部では、現場での教育をこれまで以上に重視して、山から海までのフィールドで発生する生産、環境、資源に関わる諸問題の理解と解決のために、様々な方策を提案し実行できる人材を育成します。できる限り現場を体験する機会を与えて、農学全般に関わる基礎的知識と専門知識の修得が可能になるカリキュラムを編成します。また、全コース共通の科目、複数コース共通の科目を設けることで、コース横断型の履修が可能になりました。このような柔軟性のある教育プログラムによって、学生個々の多彩なキャリア形成を可能にし、就職したい分野への適応力と意欲を高めます。価値観が変動する社会にあって、創造性と現場対応力に優れた人間形成へと導いていきます。


 

新しい教育理念と目標を持って、次代を担う人材を育てます!

 21世紀の社会において、安全な食料の確保と、環境の保全、生物資源の有効利用が農学に課せられた使命です。農学の使命を絶えず念頭におき、地域社会や国際社会の健全な発展に貢献することを、高知大学農学部の教育理念としています。その使命を理解し多様化する社会の要請に応じた専門分野の知識を学ぶと共に、現場主義に基づいた柔軟な発想と行動力によって、今後の環境や食の問題を解決できる人材を育成することを教育目標としています。

 各コースの人材育成目標:

1.暖地農学:西南暖地における農業生産の発展に貢献できる人材
2.海洋生物生産学:海洋生物資源(魚介類)の生産と有効な利用に貢献できる人材
3.食料科学:安全、安心な食料供給に幅広く関わることのできる人材
4.生命化学:植物、動物、微生物の生命現象に関わる基礎と応用を学び、個体レベルから分子レベルの手法を用いて産業への応用に貢献できる人材
5.自然環境学:多様性を持つ自然環境を理解して、自然と人間の共生のための知識と技術を身につけた人材
6.流域環境工学:地域環境の改善、保全に関わる人材
7.森林科学:森林の育成、管理、資源の循環利用に関わる人材
8.国際支援学:熱帯亜熱帯の食料、人口、環境、資源の諸問題を解決する能力を身につけた人材

 


一般選抜は全コース一括で! 推薦入試はコース別で!

 志願時に専門分野への動機や適性の確信が持てない受験者の増加に対応して、一般選抜(前期、後期日程)を学部一括で実施し、2年次進級時に各コースへの配属を決定します。こうして入学後1年間の学習を通して、志望や適性を確認する機会を与えます。また、入学時から限られた専門分野に強い希望を持つ学生に対しては、推薦入学I・推薦入学IIをコース別に実施します。 推薦入試への出願資格は、現役生のみのコース、既卒者を含むコース、自己推薦で良いコースなどコースによって異なるので注意して下さい。センター試験の教科・科目については、受験者の負担増にならないように措置しています。
 一般選抜(学部一括入試)で入学した学生は,1年次に共通教育と専門分野の導入教育を受けることによって各コースへの理解を深め、2年次に志望するコースを選択します。各コースへの配属は,原則的には本人の希望に基づいて決定しますが、希望者数がコースの受け入れ可能人数を超える場合には、1年次の指定科目群の成績などを考慮して決定します。
 一般選抜(前期、後期日程)では、必要最小限の基礎学力を評価するセンター試験教科・科目(4教科5科目)を課します。個別学力検査等は、思考力、論理性、理解力、表現力を小論文で評価します。
 センター試験を免除して行う推薦入学Iは、森林科学コース志望者のみについて、専門分野で必要な判断力や表現力を評価する個人面接で入試を行います。
 推薦入学IIは8つのコース別に行い、それぞれのコース毎で必要最小限の基礎学力を評価するセンター試験教科・科目を課します。個別学力検査等は、思考力、論理性、理解力、表現力を小論文で評価し、各コースの専門分野で必要な判断力、表現力を個人面接で評価します。


平成19年度の入学者選抜方法
学科 コース 一般選抜 推薦入学
前期日程 後期日程 推薦入学I 推薦入学II
センター試験 個別試験


暖地農学コース 全コース
一括選抜

センター試験:
4教科5科目

個別試験:
小論文
全コース
一括選抜

センター試験:
4教科5科目

個別試験:
小論文
募集なし 4教科5科目 小論文
面接
海洋生物生産学コース 小論文
面接
食料科学コース 3教科3科目
または
3教科4科目
小論文
面接
生命化学コース 小論文
面接
自然環境学コース 4教科5科目 小論文
面接
流域環境工学コース 小論文
面接
森林科学コース 面接 5教科6科目
または
4教科6科目
小論文
面接
国際支援学コース 募集なし 4教科5科目 小論文
面接