高知大学 農林海洋科学部 大学院 総合人間自然科学研究科農林海洋科学専攻

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大学院インタビュー 平成23年度

薬用植物の効果を科学的に立証し、
途上国の人々のQOL向上を目指す


総合人間自然科学研究科1年(平成23年度)|和歌山県出身|尾崎真以


植物が持つ有用性をさらに追及するため大学院へ

 実家が農業をしているため、農業を身近に感じて育ったのが、高知大学農学部に入学したきっかけです。また、高校の頃から海外、とりわけ発展途上国に関心があったので、農業と国際支援が共に学べる国際支援学コースに進みました。
 大学院への進学を決めたのは、在学中です。国際支援学コースでは、カリキュラムに海外実習があったり、さまざまな国の方と交流できたり、希望だった海外に関わる勉強ができました。また学部卒論研究も、『熱帯・亜熱帯産植物のエラスターゼ阻害成分の探索』をテーマに、皮膚の健康に有効な薬用植物について研究し、形にすることができました。
 しかし、自分の中では研究のための時間が足りないという思いがありました。中途半端で終わりたくない、もっと現地の人々に還元できるような結果を出したいという気持ちが強くなり、研究テーマを掘り下げるために、大学院に進むことを決めました。


薬草の効果を立証し、現地の方々に結果を返したい

 所属しているのは、フィリピンバタネス諸島などの東南アジアをフィールドにしている資源機能科学研究室です。東南アジアは紫外線が強く、皮膚にも大きな影響を与えます。その一例としてしわが挙げられますが、現地の植物の中に、しわ生成を和らげる成分を持つものがないか、調査を続けています。
 研究にあたって最初は、バタネス諸島のさまざまな植物を採集しました。その中でしわへの効果が検証できたのが、ヤブコウジ科のある植物でした。その後対象範囲を同属植物に広げ、しわ生成を抑制するエラスターゼ阻害成分について分析しています。
 東南アジアは医療が発達していない地域が多く、私たちのフィールドであるバタネス諸島も例外ではありません。研究の目的は、現地に則した方法で人々の健康維持に貢献すること。そのため、現地で薬草として使われている植物の効果を科学的に立証し、結果を現地の方々にフィードバックしたいと考えています。

実験の様子

実験の様子

植物採集の現場にて

植物採集の現場にて


専門家たちを前に緊張の発表。授業も、より専門的に

 より専門的な知識を学ぶ大学院では、学部のときに経験できないような出来事もありました。その一つが、学会での発表です。
 僕が大学院1年次の春に参加したのは、静岡県で開かれたマリンバイオテクノロジー学会です。研究の結果をスライドにまとめ、専門家たちを前にプレゼンテーションを行いました。スライド作成はもちろんですが、発表の練習も大変で、教授に何度も厳しい指摘を受けながら練習を重ねました。当日は、うまく発表できたか覚えていないほど緊張しましたが、とても良い経験ができたと思います。

専門知識が増えるのを実感。国際交流も楽しい経験

 大学院に進んでよかったと思う点は、研究に費やせる時間が増えたことです。専門性が高くなり自分の知識が増え、また機械を扱う技術も高くなり、実験に思う存分取り組めるようになりました。私の研究室は人数が少ないですし、ほかの授業も学生が4〜10人と少人数制なので、教授との距離がとても近いのも魅力です。

バタネス諸島の子ども達と

バタネス諸島の子ども達と

 研究室では、年に2回ほどバタネス諸島に行き、植物採集を行っています。海外実習はもちろん楽しいですが、現地の方々とのふれあいも楽しみの一つ。現地の方々はとてもやさしく、また教授の知り合いがたくさんいらっしゃるので、一緒に食事を楽しんだりしています。
 実験では、分からない点が出てきて行き詰まることも多々あります。しわの生成・抑制について専門知識を持つ人は周囲にいません。薬用天然物化学、民俗薬学の専門家である教授に相談したり、一人で論文を調べたりして乗り越えています。
 研究結果をまとめて、2年次に学会で発表したいというのが在学中の目標です。そしてもう一つの目標が、語学留学です。バタネス諸島は英語が通じるため、実習を通して英語が話せるようになりました。しかし、まだまだ未熟で、語学習得の必要性を実感しています。将来は海外に関わる仕事に就きたいので、英語をマスターするのが今後の課題です。
 バタネス諸島には、ぜひまた行きたいと思っています。そのためには、現地の方々に恩返しできるような研究結果を残さなければなりません。人々の生活に少しでも役立てるよう、今後も研究に取り組んでいきたいと思います。