高知大学医学部 老年病・循環器内科学

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虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

心臓の筋肉(心筋)を養う血管(冠状動脈)に動脈硬化が生じ、狭い部分が出来ると、運動などで心臓に無理が かかった時に十分な血液を心臓の筋肉に送ることが出来なくなり、一時的に心筋が血液の不足状態(虚血)に陥ります。この時、胸や左肩に押しつけられる感じ や締め付ける感じが起きます。この状態を狭心症発作と言います。通常は、運動などを中止すれば数分間で治まります。一方、冠状動脈が動脈硬化の進行や血管 の中に血の固まり(血栓)が出来ることで完全に詰まってしまう状態を心筋梗塞症と言います。 狭心症に比べ、激しい(死の恐怖を感じる様な)胸の痛みを感じ、また痛みの時間も半日から数日続きます。心筋への血液が途絶えますので心筋が腐り(壊死)、心臓の働きは弱り、むくみや呼吸困難(心不全)や重大な不整脈が生じ、生命の危険があります。

これらの治療の基本は、動脈硬化を進行させないための薬物療法です。しかしながら、病気が進行すると、薬物 だけでは、生命予後や症状の改善が期待できない場合があります。その際には、患者さんの背景、血管の状態より心臓バイパス術と経皮的冠動脈インターベン ションが必要になります。当科の虚血性心疾患の診療としては、非侵襲的検査として64列Doual source CTおよびSPECT、侵襲的検査として、FFRの測定およびIVUS、OCTを使用し、機能的および形態的評価を行い、治療の適応を決定します。経皮的冠動脈インターベンション施行の際にはバルーンおよび症例によってはロータブレターも使用し、患者さんの背景および血管の正常より、薬剤溶出性ステントと通常のステントを使い分け、出来るだけ良好な成績が得られるように努めています。





不整脈

不整脈には 多くの種類があり、重症度や治療方法が異なってきます。通常の心電図や24時間心電図検査などにより、ある程度までは方針や治療法を決めることが出来ます。診断、治療方針決定のため、更に詳しい情報が必要な場合、心臓内にカテーテルを入れ、電気の発生や伝達の状況を観察し、あるいは不整脈を誘発して不整脈の種類や原因を詳しく調べる必要があります。この検査を電気生理学的検査といいます。電気生理学的検査によって、原因が判明した場合、不整脈の種類によっては、その部分を焼灼することによって根治が可能です。この治療をカテーテル・アブレーション(経皮的カ テーテル心筋焼灼術)とよびます。発作性上室頻拍、通常型心房粗動、心房頻拍、特発性心室頻拍といった不整脈では、カテーテル・アブ レーションの成功率が90%程度と高く、薬物治療より効果的で、安全性にも優れていることが示されています。当科ではアブレーション治療を2008年より開始しております。年々症例数は多くなり、2010年より植え込み型除細動器や心室再同期療法の施設認可を受け、2011年よりは心房細動に対するアブレーションも開始しました。また、徐脈性不整脈(脈が遅い不整脈)では、適応があればペースメーカの植え込み術を行っています。
今後も、患者さんの利益をなにより大事にし、安全で有効な治療を提供できるようと考えています。不整脈でお困りの方がいらっしゃいましたらご相談いただければ幸いです。



心不全・心筋症
治療の進歩により心臓病の方が長生きされるようになりました。しかしながら、病気が重い方や御高齢で多くの疾患を有する方が心不全で入退院を繰り返すことがあります。当科では、これらの患者さんに対し、心室再同期療法(CRT)や補助循環などの集約的治療を行うのみでなく、老年医学的アプローチをにより全人的治療を行い、少しでも生活の質を改善するように治療を行っています。
また、当科では伝統的に多くの拡張型心筋症や肥大型心筋症の症例を経験しており、遺伝子診断も含め、心筋症の患者さんに最適な治療を提供することが出来ます。心筋症専門外来(担当:久保亨)を開設し、専門的に診療に当たっています。

2012年治療実績