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妊婦検診 産科外来 診療案内

妊婦健診での検査について 高知大学医学部附属病院 産科婦人科

初期検査(妊娠10週頃)」「中期検査(妊娠26週〜28週頃)」「後期検査(妊娠36週頃)


妊娠初期検査(妊娠10週頃)自費:約13,000円(公費負担制度があります)

◎血液型(ABO式、Rh式)

分娩時には、大出血をきたし輸血を必要とする事態となることもあります。そういった緊急時に備えて、あらかじめ血液型を確認します。またRh陰性のお母さんの場合、Rh不適合妊娠といって、赤ちゃんに貧血や発育異常を起こすことがあり、特殊な妊娠管理が必要となることもあります。

◎不規則抗体検査

分娩時には緊急で輸血が必要なことも珍しくありません。妊娠中に不規則抗体がないことが確認できていれば、簡単な試験で早急に安全な輸血をすることができます。また、お母さんが何らかの不規則抗体を持っていると、胎児水腫(赤ちゃんの全身浮腫)や胎児貧血、新生児黄疸を起こすことがあります。

◎血液検査(貧血の有無など)、尿検査

妊娠初期・中期・後期と3回の血球検査を行います。妊娠中は、赤ちゃんの鉄分必要量の増加に伴い、鉄欠乏性の貧血になりやすくなります。貧血が強くなると赤ちゃんの発育や出産・産後に影響しますので、食事療法や鉄剤内服などで治療します。

◎血液凝固能検査

凝固能とは、出血時に止血する能力のことです。凝固能が低下していると、今後の妊娠・分娩に際してリスクとなるので、妊娠初期に検査しておきます。

◎血糖値検査

近年、糖尿病患者は急増しています。お母さんに糖尿病がある場合、様々な周産期合併症(下記に記載)の頻度が上昇しますので、妊娠前にはわからなかった糖尿病を発見するために妊娠初期に血糖値を測定します。

妊婦への影響:羊水過多(症)、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、巨大児による難産流早産など

胎児・新生児への影響:先天形態異常、巨大児、子宮内胎児発育遅延、胎児機能不全、胎児死亡、新生児低血糖、新生児呼吸窮迫症候群、新生児多血症、新生児低カルシウム血症など

前回の妊娠の際に尿に糖が出た方、原因不明の流産や死産の経験のある方、先天異常児や巨大児(4kg以上の赤ちゃん)を出産した方、家族に糖尿病の患者さんがいる方は事前に担当医に御相談下さい。

◎梅毒血清反応

梅毒は、梅毒菌による性行為感染症です。お母さんが感染すると、母子感染(胎内感染)を起こし、先天梅毒児や流早産、子宮内胎児死亡となることがあります。検査は、2種類の血液検査(梅毒血清反応)で判定しますが、はっきりしない場合は更に別の検査を行うこともあります。もし、感染していた場合は、抗生物質で治療します。また、お父さんの検査・治療も同時に必要です。治療後であれば、産後の母乳哺育も可能です。

◎風疹抗体

妊娠初期に風疹に初感染(初めて体内に風疹ウイルスが侵入)した場合、胎内感染により赤ちゃんに先天性風疹症候群(白内障・先天性心疾患・難聴・精神運動発育遅延など)と呼ばれる先天異常を起こすことがあります。感染の有無は、風疹血清抗体価検査(風疹HIといいます)で調べます。風疹HIが高ければ、2週間後に再度検査し、感染かどうかを判定します。逆に、風疹HIが低い方は、今後感染する危険があるので、妊娠6ヶ月頃までは必要時以外の外出を避け、マスク着用・うがい・手洗いを徹底しましょう。また、出産後には必ず風疹予防接種(私費)を受けるようにしましょう。

◎B型肝炎ウイルス抗体

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染(血液・精液・唾液)で起こる肝炎(肝臓の炎症)です。お母さんがHBVに感染していると、母子感染(産道感染)や生後の一般生活の中で、赤ちゃんに感染を起こす危険性があります。そこで、お母さんのB型肝炎ウイルス抗体を検査し、もし感染していた場合は、出生後赤ちゃんにB型肝炎ワクチンなどを投与することで、95%以上の確率で母子感染を防ぐことができます。分娩方法は経腟分娩でよく、母乳哺育も可能です。

◎C型肝炎ウイルス抗体

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染(血液・精液・唾液)で起こる肝炎(肝臓の炎症)です。日本のHCVキャリアは約200万人以上と推定され、妊婦では0.5〜1%といわれています。母子感染率は約10%と考えられていますが、残念ながら現在のところ、母子感染を防ぐ方法はありません。ただ、日常生活の中で他人にうつす可能性があることと、20〜30年という長い経過を辿って、慢性肝炎・肝硬変・肝癌へと進行することがあるので、自己管理(健診)として検査することが必要です。分娩方法は経腟分娩でよく、母乳哺育も可能です。

◎HTLV−1(成人T細胞白血病ウイルス)抗体

HTLV−1は、ATL(成人T細胞白血病)の原因ウイルスで、主要な感染経路は輸血、性行為、母子感染で、母子感染の大部分は母乳授乳による感染といわれています。一旦HTLV−1に感染するとウイルスを排除する手段はなく、ATLに対する有効な治療法も確立されていないので、お母さんのHTLV−1抗体を測定し感染の有無を知っておくことで、赤ちゃんへの感染率を下げることができます。

◎HIV(エイズウイルス)抗体

日本でも年々HIV感染者数は増加し、現在では年間約1000人もの感染者が報告されています。HIV感染妊婦は、全妊婦の10,000人に1人といわれています。感染経路は、血液や精液での感染、母子感染(産道感染・胎内感染・母乳感染)が考えられています。近年、HIV/AIDSの治療法は著しく進歩し、新薬や多剤併用療法(一度に複数の薬剤を使用する方法)の普及により、長期生存も可能となっています。もはや、HIV/AIDSは手の打ちようのない致死的な感染症ではなくなったと言えます。母子感染に関しても、十分に管理されたお母さんでは、感染率は約2%とかなり改善されています。以上のことから、感染妊婦の早期治療開始と母子感染の防止を目的に、妊婦健診でHIV抗体検査を行うことはとても大切です。当院では、全てのお母さんに対し、同意を得た上で血液検査を行っています。もちろんプライバシーは確実に保護されます(結果は御本人に直接お伝えします)。尚、この検査では、感染していない方でも一定の割合(約0.3%)で陽性となってしまいます。陽性となった方には確認検査(二次検査)を行いますが、そのうち約95%の方は感染していないことが確認されます(これを疑陽性といいます)。

◎トキソプラズマ

トキソプラズマは寄生虫の一種で、ネコの糞便や感染したウシ・ブタ・ニワトリの生肉を食べることで感染します。お母さんが感染した場合、胎盤を介して赤ちゃんにも感染し、先天性トキソプラズマ症(水頭症・脳内石灰化・網膜脈絡膜炎・肝脾腫など)を発症することがあります。

◎クラミジア抗体

クラミジアは性行為感染症の中で最も頻度が多く、感染した場合でも約70%は無症状で、妊娠して初めて発見される場合が多くあります。妊娠中無治療で放置した場合、子宮頚管(子宮の入り口の部分)から絨毛膜羊膜(赤ちゃんや羊水、胎盤を包んでいる膜)へと炎症が拡大し、そのために破水や流早産となることがあります。また、分娩時に産道で赤ちゃんに感染すると新生児結膜炎や肺炎を発症させることがあります。そのため、妊娠中にクラミジア抗体を検査し、感染していると考えられた場合は、妊娠中でも抗生物質の内服で積極的に治療すること、お父さん(パートナー)も一緒に治療すること、が大切です。


妊娠中期検査(妊娠26週〜28週頃)自費:約2,000円

◎血球検査(貧血の有無、白血球数・血小板数の確認)  

〜妊娠初期検査の項を参照〜

◎血糖値検査

胎盤からインスリン拮抗ホルモン(血糖値を上げやすいホルモン)が産生されるため、妊娠中期以降はインスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上昇しやすくなります。当院ではこの時期に、糖負荷試験(糖水を飲んだ後に血糖値の上がり具合を検査する試験)を行います。

◎腟分泌物培養検査(おりものの細菌検査)

腟や子宮頚管(子宮の入り口の部分)に細菌感染があると、帯下(おりもの)や外陰部のかゆみや違和感を感じたり、破水や流早産を起こすことがあります。この時期の腟分泌物培養検査(おりものの細菌検査)は、早期の破水や流早産を予防するために重要です。



妊娠後期検査(妊娠36週頃)

◎血球検査(貧血の有無、白血球数・血小板数の確認)

〜妊娠初期検査の項を参照〜

◎腟分泌物培養検査(おりものの細菌検査)→GBS(B群溶血性連鎖球菌)の有無

GBS(B群溶血性連鎖球菌)は、腟・直腸に常在する細菌です。妊婦の保有率は約10〜20%で、分娩時に産道で赤ちゃんに感染するとその約1%に新生児GBS感染症(肺炎や髄膜炎など)を発症するとされています(99%の赤ちゃんは無症状で経過)。妊娠後期にGBSが検出された場合には、分娩時に抗生物質を点滴することで、感染を予防します。



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