高知大学 医学部 外科学講座 外科1


後期研修の感想
後期研修を振り返って
高知大学医学部外科学講座外科1 助教 前田 広道
研修義務化に伴い 2004年5月から 2005年3月末までの2年間、母校である高知大学
医学部において初期研修を実施し、2006年4月から高知大学外科1に入局いたしまし
た。この年は、花ア教授が高知へ赴任された年でもあります。
同期には吉岡龍二先生と辻井茂宏先生がいます。吉岡先生は1年目の夏期休暇を利
用し癌研有明病院を見学した際に、現在の防衛医大教授である山本先生より 「有明で
研修しないか」 という勧誘を直接頂き、2008年4月から癌研有明病院で研修を開始しま
した。主には肝胆膵領域の手術を経験するとともに論文活動を行い、日々研鑽を積ん
でいるとのことです。辻井茂宏先生は3人の中で唯一人、New England Journal of
Medicineを定期購読し、時々その知識の一端をカンファレンスなどで披露してくれるとい
う博学な人物であります。現在、国立高知病院において胸部から腹部まで幅広く手術を
ご指導いただき、診療に明け暮れているとのことです。
私自身は希望して大学での研修を継続させていただきました。その間、2006年4月か
ら 2008年 10月までの2年6ヶ月間の経験を振り返ってみました。まず、1年目では、胃
グループ、大腸グループ、肝胆膵・食道グループの3つのグループを約4ヶ月間研修い
たしました。その後は、肝胆膵領域に興味をもち、肝胆膵領域での研修を継続させてい
ただいております。経験した手術症例をまとめますと、術者として 125例を執刀し、その
内訳は、肝切除術が 33例、膵頭十二指腸切除が6例、膵体尾部切除が7例、胃切除が
4例、結腸切除が6例、緊急手術が 13例、門脈塞栓術が 10例、バイパス術が6例、ラ
ジオ波焼灼術が5例、その他が 36例でした。短期間の間に高難度の膵頭十二指腸切
除術などを経験させていただいたことは非常に大きな喜びでもあり誇りでもあります。ま
た、第1助手を 53例で 第2助手を 166例で経験し短期間に密度の高い手術経験を積
ませていただきました。2006年、花ア教授就任時よりパーツ式手術教育が導入され、胆
嚢摘出術や、胃空腸、胆管空腸吻合などを早くから経験することができたことも手術手
技向上にとって重要であったと感謝しています。
外科領域の基盤となる資格として外科専門医取得があると思いますが、術者 120例を
含め 350例の手術経験を要するとあり、十分に症例数を満たすことが可能でした。また
胸部、心臓血管外科領域の手術に関しても、必要症例数取得のために花ア教授、笹
栗教授 (外科2) 指導のもと経験が可能な体制となっており、今後経験していく予定と
なっています。2008年、外科専門医仮試験に関しましては皆様のご指導のもと、ほとん
ど自分では勉強しませんでしたが、無事合格することが可能でした。ありがとうございま
した。2009年の専門医取得を目指したいと思います。
臨床だけではなく、2007年からは社会人枠大学院での研究も並行し、人工膵臓による
周術期血糖値管理や、犬を用いた基礎実験などを中心に研究をご指導いただいており
ます。自分自身では完成したと自画自賛してから、1年以上に及んで花ア教授、西森准
教授(1内科、光学診療部)、岡林講師に論文のご指導を頂き、American Journal of
Surgeryに Accept されました。本当に最後までご面倒を見ていただき感謝の念にたえ
ません。ありがとうございます。
高知大学外科1の肝胆膵領域の手術件数は毎年増加しており、来年度も増加するであ
ろうと予測しております。花ア教授、岡林講師が行なってきた治療行為が評価されてい
るものと喜ぶと同時に、後輩としてはプレッシャーを感じずにはいられません。また、上
村先生や宗景先生が将来の専門として肝胆膵領域を希望してくれています。今までは、
教えていただくことがほとんどであった立場から、自分が教わったことを伝えていかなく
てはならない立場へ移行し始めました。現在のよい流れがさらに勢いを増すように、
日々精進していく所存でございますので、関連病院の先生方におかれましても、これま
でと変わりないご指導ご鞭撻のほどなにとぞよろしくお願い申し上げます。 |

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