医療の質を数値化しよう、可視化しようという試みは、1850年代のフローレンス・ナイチンゲールが病棟ごとの感染症率と死亡率を評価したことに始まると言われています。今日のクオリティ・インジケーターと呼ばれている診療の質を評価する指標の原型です。
1960年代に入り、アベディス・ドナベディアン(Avedis Donabedian)が、医療の質の定義と評価方法を体系化しました。
A・ドナベディアンは、このような医療の質評価を3つの視点からまとめました。
1.構造(Strucyure)からみた評価
病院の設備や人員配置、組織などを評価する。
2.過程(Process)からみた評価
実際に行われた診療や看護についてその技術の良し悪しやどれだけ診療ガイドラインなど
に則しているかを評価する。
3.結果(Outcome)からみた評価
受けた診療や看護の結果としての患者の状態を評価する。(生存期間・治癒率・健康アウト
カムなど)
これらの指標を測定し、評価、改善、それを実際に生かすことにより、医療の質の向上に取り組んでいくことが重要です。
医療に質を測るアウトカム指標の一つに臨床指標(Clinical Indicator)があります。
臨床指標の要件として、
1.データの収集が比較的容易であること
2.標準的な成績が目安として提示できること(施設間比較ができる)
3.改善への努力が反映されやすいこと
4.卓越した事例(ベストプラクティス:Best Practices)を示せること
などがあげられます。
臨床指標は、アウトカムの指標として始まりましたが、構造、過程についても指標を設定し、評価しようとされており、本院では、測定する指標を「医療の質の測定と評価 」クオリティインジケータ(QI: quality indicator)と呼ぶこととします。
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