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コラム -医療情報提供-

周産期のメンタルヘルス

 近年、周産期のメンタルヘルス・ケアの重要性がますます認識されています。「周産期」とは、出産前後の期間の事を指し、通常、妊娠22週から出生後7日未満の期間のことを指し、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間です。産後うつ病に伴う自殺や児童虐待など、メンタルヘルスとの関連を考える場合、出生後数か月から1年程度と、もう少し長い期間を指すことも多いです。最近では周産期医療の進展に伴い、高齢出産・不妊治療・出生前診断など新たな課題が増え、多岐にわたるメンタル・サポートが期待されています。周産期メンタルヘルスの改善のためには、妊産婦だけでなく、そのパートナーや乳幼児という家族全体のメンタルヘルス・ケアを包括的に対応する必要があります。産婦人科や小児科医・精神科医・保健師・ソーシャルワーカー・心理士など、医療機関だけでなく地域における保健・福祉領域の多種職が、円滑に連携しながら支援するシステムの構築が求められています。
 周産期のメンタルヘルス・ケアの対策としては、メンタルヘルスの不調に早期に気づき、症状が軽いうちに対応することが重要です。そのため、妊婦健診では、こまめにメンタルヘルスのスクリーニングが行われており、妊娠がわかったら妊婦健診をしっかり受けることが重要です。産後は、乳児家庭全戸訪問事業といって、乳児が生後4か月を迎えるまでの間に1回、保健師、助産師、看護師などが、すべての乳児のいる家庭を訪問し、様々な不安や悩みを聞き、子育て支援に関する必要な情報提供を行うとともに、支援が必要な家庭に対しては、適切なサービス提供に結びつける子育て支援事業があります。さらに、高知県内全34市町村では、令和2年10月1日から、産後うつや育児のストレスに苦しむ母親を支援するために、これまで自己負担だった産婦健診を無償化し、産後2週間と1カ月の2回、出産を取り扱う県内の医療機関と助産所での健診が公費負担になりました。心身ケアや育児サポートなどの「産後ケア事業」と合わせて、さまざまな母子支援強化が進められています。
 妊産婦の相談援助機関には、様々な機関があり、それぞれ連携しております。相談援助機関に関する情報は、出産を取り扱う県内の医療機関と助産所でも教えてもらえます。一人で悩みを抱え込まずに、地域の相談しやすい機関に早めに相談し必要に応じて援助を受けるのがいいでしょう。


◎ 著者プロフィール
氏名:高橋 秀俊(タカハシ ヒデトシ)
所属:高知大学医学部児童青年期精神医学
役職:特任教授

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