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コラム -医療情報提供-

アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法とは?

 アレルギー性鼻炎は特定のアレルゲンによって、鼻水、鼻づまり、くしゃみの症状がおこる病気です。最近の疫学調査では、アレルギー性鼻炎の有病率は49.2%と報告されており、2~3人に一人は何らかのアレルギー性鼻炎があることになります。アレルギー性鼻炎の治療は、ますアレルギーの原因回避と、アレルギー性鼻炎治療薬の内服薬や外用薬による薬物治療が一般的ですが、アレルギー反応をおこりにくい体質に改善する「減感作療法」があります。
 以前から「減感作療法」としてアレルギー原因物質を含む特別な薬剤を皮下に注射する皮下免疫療法がおこなわれていました。しかし、注射の痛みや注射後に呼吸困難や血圧低下などアナフィラキシーという危険な状態になることがありました。そこで、安全に免疫療法ができる方法として開発されたのが、舌下免疫療法です。これは、アレルギー原因物質を含む錠剤を舌下に含み、減感作する方法です。皮下注射と同等の効果が得られ、重篤なアナフィラキシーがおこりにくいことから、アレルギー性鼻炎の治療方法として認められるようになりました。「1日1回 治療薬の錠剤を舌下におき、1分ほど含んだあと飲み込む」治療で疼痛もなく減感作治療をうけることができます。
 現在日本で保険診療として治療が可能なものは、スギ花粉とダニによるアレルギー性鼻炎です。ダニアレルギーに対する治療は、一年中いつでも始めることができますが、スギ花粉に対する治療は、スギの花粉飛散時期をさけて開始します。高知県では6月から12月ぐらいがよいと思います。
 治療効果は即効性ではありません。毎日治療を行い、ダニアレルギーでは数か月で症状が軽減し、スギ花粉症では、治療開始後の最初のスギ花粉飛散時期に、症状が軽い、アレルギー薬使用が減少したなどの効果がでるといわれています。全体的な治療効果は概ね7割から8割で、治療期間は、最低3年の継続をおすすめしています。舌下に薬剤を含むことができれば、5歳以上の小児から治療を開始できます。年齢の上限は記載されていませんが、重症の喘息や自己免疫疾患のなど免疫に関連する合併症がある場合など治療できないことがありますので注意が必要です。
 治療初回は、実際に舌下ができるか、アナフィラキシーなどの重大は副作用がないか、など医療機関での厳重な観察をおこないます。翌日からは自宅等での治療を行うことになりますが、口の中のかゆみ、不快感 唇や口の中の腫れなどが現れることがあります。経過や副作用チェックのために1カ月に一度は医療機関への受診が必要です。舌下免疫治療とアレルギー治療薬の併用は可能で、スギ花粉とダニの両方にアレルギーがある場合は、それぞれの免疫療法をあわせて行う方法もあります。
 この治療は、治療方法や副作用などについて講習をうけた医師でなければ行うことはできません。ホームページなどで舌下免疫療法の専門医と医療機関を検索しご相談をおすすめします。


◎ 著者プロフィール
氏名:弘瀨 かほり(ヒロセ カホリ)
所属:高知大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
役職:助教

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