前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

自己免疫性膵炎

 自己免疫性膵炎は、1995年に日本から発信された疾患概念です。この自己免疫性膵炎は2種類あることがわかってきましたが、日本の自己免疫性膵炎は、その多くがIgG4という血液の中にあるイムノグロブリンという成分の一つが血液の中で増えているタイプです。みなさんがよく知っているインフルエンザワクチンは、インフルエンザに対する抗体(イムノグロブリン)の一つであるIgGというものを作って備えます。IgGは1から4に分けられ、その一つがIgG4です。ただ喘息や一部の膵臓癌でも増えるため、必ずしもこの病気に限ったものではありません。このIgG4が何をしているのかは、まだ何もわかっていません。
 自己免疫性膵炎の患者さんには、唾液腺、肺、リンパ節、胆管、腎臓、後腹膜など様々なところに病気がおこることが多く、現在では全身の病気としてIgG4関連疾患と、これもまた2011年に日本の研究者達が名付けました。日本に多い自己免疫性膵炎は、IgG4関連疾患の膵病変とされ年々増加しています。現在はIgG4関連疾患として難病の一つに指定されており厚生労働省の研究班が組織されており、私や当院の内科(内分泌代謝・腎臓)の谷口 義典先生もメンバーになっています。
 一般的にはどちらかと言うと中高年の男性に多いとされていますが、若い人には少ないです。
 症状としては黄疸がでることが多いのですが、人間ドックで偶然みつかることもよくあります。
 、細胞の検査をはじめとして様々な検査をしても膵臓癌との区別が難しいことがいまだにあります。2018年に日本の診断基準が改定され、私もその作成に携わりました。
 治療は、ステロイドという薬がよく効きます。しかし、まずは膵臓癌でないことをしっかり調べないといけません。入院していただき、糖尿病がある方は血糖コントロールを、黄疸がある方は黄疸をとるために細くなった胆管にチューブを入れたりします。治療を開始して2週間でステロイドに反応しないようでしたら、膵臓癌ではないのか再度検査が必要です。この病気の特徴として、ステロイドを減らしていく途中もしくはやめたあとに再び悪くなったり、違う臓器にこの病気が出たりすることがしばしばあります。その時は、まず癌でないことを再度検査してから再度ステロイドの治療が必要です。私たちは厚生労働省の研究班、日本膵臓学会を中心として診療ガイドラインを作成していますが、その中では治療を始めたら3年間続けることを勧めています。
 自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患は日本から世界に向けて発信された病気ですが、歴史は浅くまだわかっていないことが多く残された病気と言えます。


◎ 著者プロフィール
氏名:内田 一茂(ウチダ カズシゲ)
所属:高知大学医学部附属病院 内科(消化器)
役職:教授

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る