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コラム -医療情報提供-

予防接種、特にロタウイルスワクチンとB型肝炎ワクチン

 小児におけるロタウイルスとB型肝炎のワクチン接種についてお知らせします。
 ロタウイルス感染症の主な症状は発熱、嘔吐、下痢です。激しい下痢などにより脱水症となり、入院が必要になる場合も少なくありません。
 ロタウイルスワクチン接種後に注意すべきこととして腸重積症があります。腸重積症を示唆する症状としては、激しく泣くこと・不機嫌を繰り返す、便に血が混じる、嘔吐を繰り返すなどがあります。初めての接種後7日以内がその危険性が高いと言われており、このような症状を認めたら速やかに医療機関を受診していただきたいです。ただ、ロタウイルスワクチンによる腸重積の発症は10万接種あたり1~2例程度と言われており、ワクチン接種の利点はこの危険性を遥かに上回っていると考えられます。
 2020年8月1日以降に生まれたお子さんは定期接種となり、無料でこのワクチンを接種できるようになりました。日本小児科学会では生後8週からの初回の接種を勧めています。ただ、生後15週以降に初めての接種を行うと腸重積症の危険性が高くなると言われており、それ以降の初回接種は推奨されておりません。つまり、生後2か月からできるだけ早く接種していただきたいワクチンということです。
 B型肝炎ウイルスは急性肝炎・劇症肝炎、慢性肝炎の原因となるウイルスです。劇症肝炎になると死亡率が非常に高く2/3が死亡し、また慢性肝炎はその後、肝硬変・肝癌に進行する例があります。一度感染すると状態が落ち着いたように見えた後でも、いろいろな原因でウイルスが再び活性化する可能性があり、大人になってからも経過に気をつける必要があります。感染経路は母親から子への母子感染、性行為による感染が有名ですが、父親からの感染や保育園などでの集団感染が報告されており、唾液、汗、涙などの体液からも感染すると考えられています。一般的には生後2か月からワクチンを接種できます。ただ、母子感染の予防にはそれとは異なり、生まれた直後からのワクチンを含めた対応が必要です。
 新型コロナ感染症の流行に伴いワクチンの接種率が低下していると言われています。現在は、種々のワクチン接種の普及により重篤な感染症が予防されているため、ワクチンの効果を実感することが難しくなっているかもしれません。ただ、ワクチンを接種しなければそれら細菌・ウイルスに感染する危険性が高まりますので、適切な時期のワクチン接種が非常に重要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:森下 祐介(モリシタ ユウスケ)
所属:高知大学医学部附属病院 小児科 
役職:特任助教 

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