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コラム -医療情報提供-

高知県民と食道がんの話

 食道癌にかかる数は年間約25000人で、年齢は60代から70代に多く全体の約70%を占め、男性が女性の5~6倍多いことがわかっています。死亡数は年間1万人強で、都道府県別にみますと、高知県は男性の場合、秋田県(10万人当たり8.74人)、新潟県に次いで第3位の8.37人と非常に多いです。
 食道癌の危険因子として重要なのは、飲酒と喫煙です。特に飲酒は摂取量の増加とともに発癌リスクは高くなり、1日2合以上の場合は4倍程度になります。
 しかも日本人はもともとアルコールに弱い人種であることがわかっています。アルコールが代謝されて生じるアセトアルデヒドは強い発癌性をもっており、アセトアルデヒドの分解にかかわる酵素の活性が生まれつき弱い人は食道癌のリスクが高まります。このような方は、「ビールコップ1杯程度の少量の飲酒で顔が赤くなる」あるいは「飲酒を始めたころの1~2年間は、赤くなっていたが、だんだん赤くならなくなった」といった反応を示します。日本人の約半数はこのタイプであり、食道癌のリスクは約7倍、また大酒家であれば13.5倍高くなります。また、重要なのはアルコールの総量であり、濃度の低いお酒でも飲酒量が多い、あるいは最近はやりの度数の高いお酒などは少量でもリスクは高くなります。
 もう一つの主な危険因子である喫煙は、非喫煙者の3倍以上のリスクがあり、本数が多くなるほど上昇します。ちなみに1日20本以上の喫煙と、2合以上の飲酒を両方されるかたは30倍の危険があるといわれており、しかも禁酒禁煙によるリスクの軽減には10年単位の年月が必要です。
 治療の原則は病変の切除であり、大きくは内視鏡的切除と外科手術に分けられます。 また放射線や抗がん剤治療も状況によって用いられます。手術は解剖学的な観点から患者さんへの負担は大きいので、出来る限り早期発見による内視鏡治療が望ましいですが、進行して初めて飲み込みにくさ、つまり感などの症状があらわれ、しかも現在厚生労働省で定められた食道癌検診はなく、胃癌検診であるバリウム検査での早期発見はほぼ困難です。
 それだけに、食道癌は危険因子がはっきりとしているわけですから、リスクを減らすことと、積極的な内視鏡検査を定期的に行うことが重要です。
 高知県人の気質である酒好きのいごっそうは、頑固で、検診・病院嫌いの方も多いですから、まわりの方々にも協力して頂いて、早期発見に努めていきたいですね。


◎ 著者プロフィール
氏名:山田 高義(ヤマダ タカヨシ)
所属:高知大学医学部附属病院 内科(消化器) 
役職:講師 

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