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コラム -医療情報提供-

喫煙の害と禁煙のすすめ

 タバコの煙には4000種類以上の化学物質が含まれ、250種類以上が有害物質です。なかでも、タール、ニコチン、一酸化炭素は3大有害物質と呼ばれています。喫煙が肺の病気に大きく関わっていることはみなさんご存知と思いますが、肺の病気以外にもたくさんの病気が喫煙関連の病気だと分かっています。タバコは本当に自分ひとりだけの問題なのでしょうか。タバコの煙には喫煙者が直接吸い込む主流煙と、火がついているところから立ちのぼる副流煙があります。副流煙の中には有害物質が多いものでは主流煙の100倍含まれているといわれています。また、タバコから排出されたタールは服や壁、エアコンに付着し、タバコを吸っていない時でも有害なガスを出し続けます。これをサードハンドスモークと言います。タバコは家族全体の問題として協力して解決していくべきです。
 呼吸器学会のホームページによると、新型コロナウイルスがヒトの細胞に侵入する際に利用する分子を、喫煙が増やしてしまうことが分かっており、重症化や感染拡大につながる可能性があるようです。
 禁煙のメリット1つ目は、病気の発症率をさげることができます。2つ目は、金銭的なメリットです。1日1箱を吸う人が禁煙をすると1ヶ月で16800円、1年で約20万円もお金に余裕ができます。
 みなさんは、SDGs(エスディージーズ)という言葉を聞いたことがありますか。「持続可能な開発目標」とも呼ばれるもので、2015年に国連が宣言しました。世界がかかえる様々な問題を、2030年までに解決しようとする取り組みで、具体的に17の目標をかかげています。3つめの目標である「すべての人々に健康と福祉を」の対策の1つとして、世界各国がタバコの規制を強化しています。
 禁煙の難しさの最大要因がタバコに含まれるニコチンの依存症です。ニコチンが脳にある受容体にくっついて、ドパミンという快感を生む物質を出します。今まで長年喫煙を続けてきた方は、禁煙をするとニコチンの作用がなくなるので、いらいらしたり、落ち着かなくなり、また吸いたくなります。これをニコチンの離脱症状といいます。離脱症状は一定期間禁煙を続ければ消失します。そこで、その期間だけ禁煙を手助けする治療として禁煙外来があります。そして、一番大切なことは本人の禁煙するという強い意志です。本数を減らすのではなく、1日ゼロ本を心がけましょう。


◎ 著者プロフィール
氏名:穴吹 和貴(アナブキ カズキ)
所属:高知大学医学部附属病院 内科(呼吸器・アレルギー) 
役職:助教 

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