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コラム -医療情報提供-

高齢者のこころの健康

 高齢者とは一般的に65歳以上を指しますが、65歳から74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。また全国には7万人程度百歳の方がおられ、高知県にも400人ほどで人口10万人あたりの比率は全国1位になっています。日本は世界的にみて元気で生活できる、いわゆる「健康寿命」が延びており人生100年時代になりつつあります。
 皆様の周りにも元気なお年寄りが多くいらっしゃると思いますが、高齢者の健康のためには心と体のバランスが大事だと言われています。理由は、高齢期は体力の衰えに加えて、体の病気など健康上の悩みを抱えてしまいがちなこと、また本人の退職や子どもの独立、社会的役割の喪失、家族や身近な人との死別など、精神的な悩みも増えてくることです。加えて、一人暮らしの高齢者が増加傾向にある現在、コロナの影響で交流の場を失ったり、外出しない日が多くなり、孤独感が増したり、社会とつながりにくい状況が増えています。
 このように人生100年時代となったことは喜ばしいことではありますが、一方で高齢者が体と心のバランスを崩しやすい要因も増えています。高齢者を見守る周りの方もどのように接したらよいのか心を痛めていらっしゃるのではないかと思います。高齢者の心の健康の万能薬は難しいのですが、アドバイスとしては、高齢者をよく知り、見守り、何より敬う心をもって周囲の方が接することだと思います。高齢者の中にはご自身の現状を受け入れられずに悩んでいらっしゃる場合もあります。神経症の治療法に「あるがまま:今おかれた現状を受け入れ今をありのままに生きる」という治療法が古くからあります。高齢期は「自分の人生は何だったのか」を考える時期でもあります。あるがままとは「人生はその人なりに懸命に生きてきたことをあるがままとして受け入れ、その日その日を大切に生きていくこと」です。
 高齢者の心の健康にはこのような過ごし方が大事ですので、ご家族も高齢者を敬う気持ちで接して上げてください。


◎ 著者プロフィール
氏名:上村 直人(カミムラ ナオト)
所属:高知大学医学部附属病院 精神科 
役職:講師 

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