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コラム -医療情報提供-

不眠症について

 不眠症は2つの条件を満たした時に診断されます。1つ目は、長期間にわたり夜間の不眠が続くことです。ここで言う長期間とは、概ね1~3カ月以上とされています。2つ目は、日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下していることです。よって、例えば数日間、夜間の不眠が続いただけでは不眠症とは診断されませんし、睡眠時間が足りていないという実感があっても、日中に不調を感じないのであれば、不眠症とはなりません。日本人を対象にした調査によれば、5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答しています。加齢とともに不眠は増加し、60歳以上の方では約3人に一人が何らかの睡眠問題で悩んでいることが分かっています。
 人の睡眠時間は一般的に年齢とともに減少します。新生児は平均して16時間であり、その後徐々に減少し、25歳の平均は7時間程で、65歳の平均は6時間程とされます。このように、睡眠時間は加齢とともに一貫して下がり続けます。高齢者は若年者に比べて、朝に強い印象がありますが、生理的な現象という側面もあるのです。
 適切な睡眠時間には個人差があり、上述したのは平均にすぎません。例えば、フランスの英雄とされるナポレオンは睡眠時間が短かったことが知られていますし、逆に相対性理論で有名なアインシュタインはとても長かったことで有名です。このように、睡眠時間には個人差も大きいため、適切な睡眠時間は、日中に眠たくならない程度であると考えてください。不眠症にはいくつかのタイプがあります。1つ目は、寝つきが悪く入眠に時間がかかるもので、入眠困難と言われます。2つ目は、いったん眠りについても翌朝起床するまでの間、夜中に何度も目が覚める中途覚醒です。3つ目は、起床したいと思っている時刻よりずいぶん早く目が覚める早朝覚醒です。最後は、睡眠時間自体は比較的とれていますが、ぐっすり眠れたという実感のない熟眠障害です。これらのタイプはどれか1つが該当することもありますが、重複することもあります。
 不眠症の原因には、身体疾患や精神疾患、環境要因や刺激物の摂取等、様々な原因がありますが、まず出来る対応として生活習慣の改善が挙がります。適度な運動や規則正しい食事、夜間にカフェイン等の刺激物を摂取せず、寝室では過度な明るさや騒音に注意してください。これらの対応で改善しない場合は、病院に相談をお寄せください。


◎ 著者プロフィール
氏名:森田 啓史(モリタ ヒロフミ)
所属:高知大学医学部附属病院 精神科 
役職:医員 

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