前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

高齢者の骨折について

 日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳ですが、そのうちの男性9年間、女性13年間は、日常生活に何らかの制限があると言われています。平成28年の国民生活基礎調査では、要介護、要支援となった原因のうち、転倒、骨折によるものが約12%にものぼりました。このように、骨折は日常生活に及ぼす影響が非常に強い疾患です。

【治療について】
 骨折をすると、その部位で痛み、腫れ、変形が起こります。骨折を放置すると、生活の質が低下し、様々な疾患を引き起こします。また骨折による出血のため、全身状態が不安定になる場合もあり、治療が必要です。骨折の治療には、ギプスやコルセットなどで固定する保存療法と、手術療法があります。どちらの治療にもメリット、デメリットがあり、骨折の部位や度合いだけでなく、生活状況、基礎疾患、ご本人やご家族の希望も考慮し、治療方針を決定します。

【骨折を起こしやすい部位と治療方法】
 高齢者が骨折しやすい部位として、上腕骨近位部骨折(肩)、橈骨遠位端骨折(手首)、脊椎椎体骨折(背骨)、大腿骨近位部骨折(股関節)があります。転倒や交通事故、スポーツなどが原因となりますが、高齢者では骨粗鬆症により、骨の強度が落ちていることが大きく影響しています。
 肩や手首の骨折で、ずれが少ない場合は保存加療、ずれが大きい場合や、早期復帰を希望する場合には手術療法が行われます。手術では、髄内釘やプレートなど、様々なインプラントを用いて固定します。また、背骨の骨折では、基本的にはコルセットでの治療となりますが、骨が癒合しない場合や、麻痺が出現した場合などは、手術加療を行う場合があります。股関節の骨折には、大きく頸部骨折と転子部骨折の2種類があります。治療方針は、原則手術を行い、早期にリハビリテーションを行います。骨折の種類にもよりますが、骨接合術や、人工骨頭置換術、人工関節置換術などが行われます。

【予防】
 骨折を予防していくためには、骨粗鬆症の対策と、転倒の予防が必要となります。食事では、カルシウムやビタミンD、ビタミンK、良質な蛋白質の摂取が重要です。喫煙や過度のアルコール、過度のカフェインは避けましょう。運動療法としては、ウォーキングや腹筋、背筋運動、スクワット等がおすすめです。転倒しないための工夫として、自宅内のマットの固定や整理整頓、手すりや暗い場所での照明の設置などの工夫もあります。
 骨粗鬆症に関しては、一度骨密度をチェックすることをおすすめします。そこで骨粗鬆症と診断された場合は、食事等の対策だけでは不十分ですので、骨折を予防し健康寿命を延ばすためにも、積極的な治療をご検討ください。


◎ 著者プロフィール
氏名:佐竹 哲典(サタケ ヨシノリ)
所属:高知大学医学部附属病院 整形外科
役職:特任助教 

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る