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コラム -医療情報提供-

血液が多いと言われたら

 健康診断などで貧血を指摘される方は多いですが、一方で血液が濃いと指摘されるという方もいらっしゃいます。この「血液が多い」というのは、血液中にある赤血球の数が多い、という状態を表しますが、これを赤血球増加症あるいは多血症と呼びます。赤血球が多いことによってさまざまな症状が生じますが、最も重要なこととして、「血栓」という血液の塊が生じやすくなります。できた血栓は体のさまざまな血管に詰まってしまうことになり、脳梗塞や心筋梗塞の原因となります。多血症の原因として多いものには以下の2つがあります。

相対的赤血球増加症
 喫煙や睡眠時無呼吸症候群、脱水症などが原因となります。喫煙は、タバコの煙を吸い込むことで大量の一酸化炭素が体に取り込まれ、逆に酸素濃度が低下する状態となります。体にとっては酸欠状態のため赤血球をたくさん作って酸素を補おうという反応が生じます。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に一定の時間呼吸が停止する状態ですが、この際に血中の酸素濃度が低下するため、やはり赤血球がたくさん産生され多血症になってしまいます。

真性赤血球増加症
 骨髄にある造血幹細胞とよばれる細胞に異常が生じて多血症になる病気です。真性赤血球増加症のほとんどの方でJAK2遺伝子変異というものが見つかります。
 この変異により、赤血球以外の白血球や血小板といった成分全てが上昇することがあります。また他の多血症に比べてより血栓ができやすくなるため、脳梗塞などになるリスクが高くなります。経過中に骨髄線維症や白血病といった他の血液疾患になるということがあります。

多血症の治療について
 多血症の治療は原因によって異なりますが、血栓症を作らないようにすることが重要です。そのため水分をしっかり摂取すること、また禁煙や睡眠時無呼吸症候群の治療も重要です。
 真性赤血球増加症は低リスクの方に対しては、アスピリンという血液をサラサラにする薬の内服と、瀉血(しゃけつ)療法が推奨されています。瀉血療法は、血液検査を参考にしながら200〜400ml血液を抜く治療です。高リスクの方に対しては、加えて細胞減少療法が行われます。ハイドロキシウレアという内服の抗癌剤が用いられます。副作用は軽微なことが多いですが、皮膚潰瘍や二次癌といった副作用に注意が必要です。最近では変異したJAK2遺伝子の働きを抑えるJAK2阻害薬が使われることもあります。  

 多血症は、治療を行うことで血栓症のリスクを低下させることができますので、健康診断などで多血症の疑いがあるといわれたら、お近くの内科や血液内科にぜひ相談していただければと思います。


◎ 著者プロフィール
氏名:佐伯 恭昌(サエキ キョウスケ)
所属:高知大学医学部附属病院 血液内科
役職:助教 

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