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コラム -医療情報提供-

癌の遺伝カウンセリング(がんと遺伝の関係)

 2人に1人が一生のうちでがんと診断される時代で、誰でもがんを発症する可能性があります。
 がんの発症は、身体の中のがん発症に関わる遺伝子に変化が積み重なることが大きな要因で、約9割は生活習慣、紫外線、タバコの煙などの発がん物質やウイルスなどにさらされることで後天的におこる環境要因によるもので、生まれつき遺伝子に変化を持っている遺伝性腫瘍は、約1割と言われています。

遺伝性腫瘍とは、がん細胞そのものが遺伝するわけではなく『がんになりやすい体質が、親から子へ受け継がれる』ということ

 遺伝子とは、親から子に特徴を伝える情報のことです。私たちの身体を構成する沢山の細胞のほぼ全てに遺伝情報が収められており、その一部にある遺伝子から作られるタンパク質が、私たちの身体を形つくったり機能を保ったりするために働きます。この情報は人類共通ですが、個人個人で少しずつ異なり、個性となります。

生まれつきDNAを安定させる役割を担う遺伝子の一部に変化を持っていることによって、特定のがんを発症しやすい体質のことを遺伝性腫瘍と言い、下記のような特徴が見られます。

  • ①若年で発症する
  • ②同時または異なる時期に複数回がんを発症する
  • ③家系内で同じ種類のがんを発症する(家族歴はある場合と無い場合があります)
  • ④珍しい種類のがんを発症する

 遺伝性腫瘍である場合は、綿密な検診(サーベイランス)を行うことでがんの早期発見に努めたり、がんにかかる可能性を下げるための手術を受けたりすることで、がんに命を奪われないよう対策を行うことができる場合もあります。

 遺伝性腫瘍の体質であるかを診断するためには遺伝学的検査を行いますが、この検査で調べる情報は、①一生涯変わらない、②親子・きょうだいの間で一部共有されている、③将来の発症予測をある程度することができるなどの特徴があるため、自分や家族にとって本当に知ることが良いのかを、事前によく考える必要があります。

 遺伝カウンセリングでは、上記でお伝えしたような体質や情報の特徴を踏まえ、遺伝性腫瘍の可能性があるかどうかの評価や、検査の可否、血縁者・ご家族への影響など情報提供や話し合いを通して、相談に来られた方がご自身でその後のことを選択・決定できるようにサポートをしています。がん患者さんはもちろん、患者さんのご家族など、相談に来られる様々な方の個々の状況に応じて、遺伝の専門知識を持つ臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが対応します。不安や疑問がある場合にはご相談ください。


◎ 著者プロフィール
氏名:田代 真理(タシロ マリ)
所属:高知大学医学部附属病院 臨床遺伝診療部
役職:遺伝カウンセラー

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