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コラム -医療情報提供-

脳梗塞にひそむがんの話

 脳卒中になるとどんな症状がでるのでしょう。ろれつが回っていないとか、顔がゆがんでいるとか、手足が思ったように動かないなどの症状がでたら、脳卒中を疑うべきです。そして、すぐに救急車を呼ぶべきです。「様子をみていた」と言われる患者さんのお話をよく聞きますが、時間との勝負といわれる時代になっていますので極力早くに119番通報するべきです。救急隊はかなりの高確率で脳卒中を見抜いてくれます。脳卒中専門病院に運んでもらい的確な診断をしてもらうことが大事になります。例えば、脳梗塞と診断された場合は詰まったところを溶かして開通させるお薬を点滴したり、カテーテルで詰まった血液の塊をとってもらったりできるかもしれません。
 脳卒中には、主に3つの種類があります。最も多いのが、高血圧、糖尿病、脂質異常などが原因となり脳の血管が詰まる脳梗塞です。次に多いのが、高血圧、飲酒が主な原因となる脳出血です。そして、脳動脈瘤が原因のクモ膜下出血です。原因を記載しましたが、ほとんどが生活習慣病です。もちろん、生活習慣病のない方にも脳卒中は起こります。脈に不整のある方に起こりやすい脳塞栓症がその代表です。その他に若い年代でも、自己免疫疾患など自分に対する強いアレルギーのある状態の患者さんに生じるものもあります。そして今回の話題である“癌がひそんでいて生じる脳梗塞”があります。
 それでは本題に入りたいと思います。脳梗塞の治療経過の中で、がんが話題になるなんてと思われるかもしれませんが、脳梗塞と診断され、超急性期の診断と治療と同時に原因検索が行われます。先ほど説明しました生活習慣病をチェックしたり、不整脈の有無を確認したり、採血で血液の固まりやすさを確認したりします。脳梗塞は再発する病気と認識されており、その原因次第で内服する薬を決定するためです。なかでも、D-ダイマーと呼ばれる採血項目が今回の話題「脳梗塞にひそむがんの話」で重要になります。D-ダイマーを調べることによって体内での血液の塊のできている可能性やできやすくなっている可能性を推測できます。D-ダイマーが高値になる病気はいくつか知られており、その中に「がん」が含まれています。入院時にD-ダイマーを調べ高値であれば、がんを疑い全身を精密検査し、がんの発見にいたることもあります。


◎ 著者プロフィール
氏名:上羽 哲也(ウエバ テツヤ)
所属:高知大学医学部附属病院 脳神経外科
役職:教授

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