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附属医学教育創造センター

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附属医学教育創造センターは、「医学教育モデル・コア・カリキュラム:全国の医学部共通のカリキュラムとして2001年に策定(現在は2016年版)」に沿って、医学生の教育が円滑に進むように、そのサポートを目的に設置されました。
これから、医学の道に進もうとされている方は、ぜひ以下をご覧ください。

カリキュラムについて

医学部医学科(以下医学科)のカリキュラムについてご存知ですか?
次の図は、現在の医学科6年間のカリキュラム概要です。全国的に大幅な改定が進められ、特に実際の病棟や外来など臨床現場での実習が増えてきています。
在学期間は4年生大学の1.5倍の6年間ですが、卒業に必要な単位数は2倍近くあり、また卒業したらすぐに医師として病院での初期臨床研修が始まるので、内容はすぐに必要な即戦力となるレベルのものばかりです。
しっかり頑張れば学修(大学教育では受け身の「学習」はなく、能動的な意味で「学修」が使われることが多いです)できる範囲ですが、大学入試時代より多くの時間を要することが予想され、心身共に健康な状態で6年間取り組んで、初めてクリアできるレベルですので、覚悟を持って臨む必要があります。

6年間の概要

1年生の学び

1991年以前の医学部では、1、2年は<医学進学課程>として、外国語、文学、歴史、政治、哲学などの文科系科目、理科、数学などの理科系科目、保健体育などを必ず一定量学ぶ事が義務付けられ、3年から6年までの4年間<医学専門課程>で医学の専門科目を学んでいました。
現在は医学科6年が一貫教育となり、医学の専門以外の科目は減っていますが、生物、物理、化学、数学などの自然科学については、いずれも医学と関連のある内容を含めて医学専門課程の中で講義が行われ、成績評価もされます。
また、医学生の大部分は、卒業後は臨床医として多種多様な背景を持つ患者さんと会話する機会があります。近年は、患者さんもインターネットなどで膨大な量の情報を得ています。患者さんとのcommunicationにおいて、医師としての知識以外にも一定レベルの教養知識を持つことは大切で、医学以外の分野も興味を持って自己学修をする事に大きな意味があります。
外国語学修も非常に大切です。英語を中心とする外国語学修及びcommunicationは、医学の分野では必須のskillです。Native speakerのように会話する必要はありませんが、語学に積極的に取り組む必要があり、その取り組み度合いは、将来大きな差となってあらわれます。
1年生から大学内、外での医療施設見学など積極的に臨床の場に触れる機会が作られています。この場合の皆さんの立場は、患者さん側ではなく医療側であり、その現場での態度も注意深く評価されます。大学外での実習の前には指導、注意もありますが、一般の大学生と医学部学生では、違った視点で厳しく評価されるのだという事を自覚して臨む必要があります。

2年生の学び

解剖学をはじめとする、生理学、生化学、病理学、免疫学、薬理学などの多くの基礎医学(図のピンクの部分)は、2年から3年生に学修します。特に解剖学実習では、医学生のために献体いただいたご遺体を実際に解剖させていただき、講義で得た知識を実際のご遺体で確認するという医療系学部でしか体験できない貴重な実習を行います。
また、2年生で学修する解剖学、生理学、生化学、遺伝子学、細胞生物学、微生物学、社会医学などの理解度は、3年生以上の臨床医学の成績に強く影響することが、これまでの調査で明らかになっています。つまり、高学年になって十分に学修が進まず留年(同じ学年を2回以上繰り返して学修すること。医学科では約2割の学生が経験。)する学生の多くが、1、2年生での成績評価が低い事が調査でわかっています。低学年で学ぶ基礎医学は、高学年では再度学ぶ事のない学修内容ですので、ここでしっかり取り組む必要があります。

3年生の学び

2年生に続き、病理学、免疫学、薬理学、社会医学などの基礎系医学を学ぶのと並行して、以下の図のピンク部分の臨床医学の講義が始まります。 内科学総論、外科学総論では、内科と外科の基礎知識を1年間かけて学びます。全国の医学部では2001年から全国共通の『医学教育モデル・コア・カリキュラム』というカリキュラムを使っています。もちろん高等学校までとは違って、大学は各大学独自のカリキュラムで教育が行われるのですが、医学部では、最終的に全医学部の学生が共通試験である医師国家試験を受験し、これに合格して医師免許という国家資格を得るという目標があります。そのためには最低限全国の医学生が同じ条件で学修する内容が必要で、以下の図のような全国共通のカリキュラムが使われています。 図の左から右に向かって、1年生から6年生へ進んでいき、一番右に医師国家試験があります。

4年生の学び

大部分が臨床科目になり『各論』と言って、各臓器とその疾患(具体的な病気)について詳しく学びます。知識として講義で学ぶことはほとんど4年生で終わります。この後に5年生の臨床実習から6年生を経て、医師国家試験受験までにどれだけ知識を広げ伸ばすかは、各自の学修努力次第です。
4年生では30科目以上の講義と試験に加えて、全国9000人以上の医学部学生対象の『共用試験』を受ける事になります。コンピューターによる通常の知識確認のテスト(CBT:computer based testing)と、実際の診察の技能や患者さんと話す様子(病歴聴取や患者さんへの態度)を評価されるOSCE(Objective Structured Clinical Examination 客観的臨床技能評価)の二つの試験です。もちろん診察技能についての詳しい講義や実習はカリキュラムに組まれているので、きちんと真面目に取り組めば大丈夫です。 4年生は講義の量や質および試験の数で、6年間で最も厳しいと言えます。これをクリアできると、『Student Doctor』の称号をもらって、晴れて5年生の参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)へと向かう事になります。

5年生、6年生の学び

5年から6年生の夏までは、実際の臨床現場で多くの患者さん、医療スタッフと共に生活、活動する参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)で、この間に20以上の専門科および県内の各医療施設での学外実習を行います。5年生で臨床実習が始まると、2年後には医師として活動するのだと実感しmotivationも上がりますが、一方で、多くの患者さんと接し病気のお話しを直接聞かせて頂く場面も多く、慣れない最初の頃はかなり疲労します。しかし、これは医療系学部以外では経験しえない特別な時間だと認識してもらいたいです。
それぞれの実施場所で定められた内容を学び、 全実習の終了後に再度診療技能の評価(実習後OSCE)を受けて合格すると、いよいよ最後の段階である6年生の卒業試験となります。
卒業試験では6年間学んだ全ての医学的な学修内容と知識の最終的なチェックを受けます。同時に目前に迫った医師国家試験に向けて、ネット講座や問題集に取り組み、また医師国家試験の全国模試も受けて準備します。
卒業試験を全てクリアすると、まだ卒業前ではありますが、『卒業見込み者』ということで、2月に実施される「医師国家試験」を受験します。3月末に合否発表があり、4月1日から全国一斉に現場に出て初期臨床研修を始めるという事になります。現在の医師国家試験の合格率は約90%と決められています。(以下が戦後の国家試験の合格率の推移です)

PBLとTBLについて

以上が6年間のごく概要です。少しだけ最初の図の説明を加えておきます。
統合医学ⅠからⅣの学修法の一つとして、PBLが使われます。PBLは問題基盤型学修(problem based learning)と言って、その多くは小グループで学修するものです。特に3、4年になると色々な病気についての課題が与えられ、これらを教室の講義ではなく、グループのメンバー全員で協力して学びます。当然ですが、グループ内のやる気が低いと、グループ全体の到達度が他のグループより低くなってしまいますので、より高い目標を持って学修することが必要です。
同じくTBL(チーム基盤型学修 team based learning)という、やはりグループで討論しあいながら学修していく形態もあり、特に本学では全国に先駆けて熱心に取り組んでいます。

先端医療学コース

統合医学コースとの選択必修科目になっている、先端医療学コースについて説明します。<選択必修>とは統合医学コースと先端医療学コースの2つのうちどちらかを必ず選んで学修するという意味です。先端医療学コースでは、自分の興味のある教室を選択し、先生と面談して相談した上で合意できれば、その教室に通って様々な実験や研究を体験し、実際に論文作成をしたり、学会(各大学や医療施設から多くの医師が集まって研究成果を発表する大きな会議)で、自分自身の研究を発表したりします。かなりの努力と学修が必要ですが、先生方も熱心にサポートしてくださるので最後まで到達した時は大きな達成感もあり、よい経験になります。

最後に

入学後には多くの教職員や、学生課のスタッフ、あるいはクラブの先輩などから色々な情報を得ることになります。ただ残念なことですが、特に学生同士の情報提供の中には誤ったものもあります。入学後の学修について、『全然大丈夫、適当にやってもなんとかなるから』というような話も聞く機会があるかもしれません。しかし、上述の情報だけみても簡単な内容ではないことは周知の事実です。
医学部に限らず大学では、必ず一定数の学生は留年します。全国の医学部どこであっても、概ね一緒に入学した同級生のうち15−25%は一緒に卒業はできず、1年あるいは数年遅れて卒業する学生もいます。これは決して競争の結果で落ちているわけではなく、全員が同じように頑張れば、全員一緒に卒業できるのが、どこかでボタンを掛け違えて十分な学修をしなかった学生が存在したという結果です。その原因のひとつとなるのが、クラブの先輩や同級生からの安易な言葉です。時には長期に体調を崩してしまい遅れてしまう場合もありますが、、留年の多くは単なる学修不足です。
皆、一緒に卒業し、国家試験も合格できるように、学修についてはぜひ自分自身で判断し、6年間motivationを維持することが大切です。

医学教育について:もっと詳しく知りたい方へ

高知大学医学部の変遷について:もっと詳しく知りたい方へ

Brief history KMS (Kochi Medical School)

スタッフ紹介

役職名・所属 氏名 詳細
センター長・教授 藤田 博一 研究者総覧へ
副センター長・教授  瀬尾 宏美(総合診療部) 研究者総覧へ
副センター長・教授 関 安孝(生体分子構造学) 研究者総覧へ