私たちの生命活動を支えているタンパク質の過半は、その生合成の過程で糖鎖修飾を受けることにより本来の機能を獲得しています。したがって、糖鎖合成異常は全身で様々な障害を引き起こすことになります。細胞内での糖鎖合成は、細胞微小環境に応じた糖転移酵素の発現量や基質量により決定されます。ゆえに、個体への長期にわたる生活環境ストレスは、個々の体細胞における糖鎖合成を障害し、結果、糖鎖機能不全による細胞機能障害が生じるのです。 私たちは、糖転移酵素欠損マウスを疾患モデル動物として解析し、糖鎖異常が引き起こす細胞機能異常、そしてそれが引き金となって起こる疾患の詳細な発症メカニズムの解明に取り組んでいます。 本講演では、現在増加の一途をたどる生活習慣病として非常に注目を集めている2型糖尿病と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症機序における糖鎖異常について解説します。
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