第18 回 KSGCセミナーのご案内



  講師:東京都医学総合研究所 細胞膜研究室
 笠原 浩二 先生



演題:フィブリンの血小板膜ラフト移行と
   血餅退縮における働き


日時:平成24年3月16日(金)17:00−18:30
場所:大学院棟1階セミナー室


 ラフトはスフィンゴ脂質とコレステロールに富む細胞膜のミクロドメインである。様々な機能タンパク質を集積させることにより、膜を介するシグナル伝達や細胞接着の中継点として働いている。 血管が傷つくと血液凝固反応が開始され、フィブリノーゲンがトロンビンによる切断でフィブリンに変わりフィブリンの網が血栓として傷口を固める。また、血液が凝固したのちにフィブリン網と血小板からなる凝血塊が収縮する血餅退縮という現象が知られ、形成した血栓を強固にして止血を完全にする働きをしている。血小板膜のフィブリン受容体GPIIb/IIIa(インテグリンαIIbβ3)の細胞質側にミオシンが結合し、アクトミオシン系の収縮によりフィブリン線維を引っ張ることでおこると考えられている。私たちは血小板をトロンビンにより活性化すると、フィブリンおよびミオシンがラフト画分に移行することを見出した。また血小板を免疫染色すると、血小板膜の全体ではなく限局した領域にフィブリン、活性化ミオシン、スフィンゴ脂質が共局在することがわかった。このことから、外側のフィブリン線維と内側のアクトミオシン系が血小板膜のラフトを介して効率よく連結し、血餅退縮に必要な張力を生み出している可能性が考えられた。





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