第 21 回 KSGCセミナーのご案内



  講師:関西医科大学 解剖学第一講座
 平原 幸恵 先生



演題:脱髄変性ラットにおける膜型エストロゲン
  受容体GPR30を介した再ミエリン化促進作用


  日時:平成25年3月26日(火)17:00−19:00
  場所:大学院棟1階セミナー室


 エストロゲンに神経保護の働きがあることが注目されてきている。特に、女性に多発する多発性硬化症への臨床応用にエストロゲンが試行されている。中枢神経系において、有髄神経の生存維持はミエリン形成細胞オリゴデンドロサイト(OL細胞)に依存しており、 迅速なミエリン再形成は、脱髄を伴う神経変性から軸索を保護する。このような重要な役割が示されているにも関わらず、OL細胞の神経保護のメカニズム、とりわけ、エストロゲン作用の分子メカニズムは不明である。最近、Gタンパク質共役受容体GPR30が膜型エストロゲン受容体であると報告された。本研究では、GPR30に焦点をおき、OL細胞での局在、脱髄変性緩和作用への影響を解析した。免疫組織学的解析により、ラット脳梁および脊髄の白質のOL細胞が、GPR30を発現していることが明らかとなった。また、脳由来、脊髄のOL細胞初代培養において、GPR30がOL細胞前駆細胞からOL成熟過程を通して細胞体に強く発現していた。その生理機能を明らかにするために、クプリゾン投与による脱髄-再ミエリン化モデルラットを作成し、GPR30特異的アゴニストG1の投与がミエリン形成に与える影響を解析した。その結果、G1投与群の脳梁において、OL成熟が促進していた。また、後根神経節とOL前駆細胞の共培養系において、G1は、ミエリン形成促進作用を示した。エストロゲンがGPR30を介し、OL細胞の成熟誘導・ミエリン形成に働き、神経保護に効果的な役割を果たしていると考えられる。





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