高知大学医学部附属病院
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医師のために

今は、勤務医に厳しい時代です。医師になろうと決心したときの使命感は、自分たちの目的地、自分たちの病院の目指すものが明確でないと霧消してしまうかもしれません。法人化のうねりの中、難しい部分はありますが、こんな病院ならどうでしょう。研修してみませんか?そしてあなたの手で新しい医師を育ててみませんか?
国立大学病院が自己収入主体の運営を行っていることは「知ってほしい病院の進化」の通りです。厳しい医療行政の中で、私たちの職員は県民から信頼され、懸命に働き、そのことを診療報酬請求の中で正当に評価してもらおうと努力してくれています。この診療の上に、研究、教育、地域貢献があるので本当に身を粉にしています。そして19年度も頑張ってくれています。

法人化前と比べてください。職員の福利厚生の向上にも努力していることが分かると思います。また職員が頑張った分は、新規医療機器購入や更新にどんどん充当しています。快適に、働きやすく、提供している医療、看護に自信を持てる病院であり続けるためです。

一般の医療機器は中央管理で、ME(臨床工学技士)さん(7名と充実)のサポートを受けてメインテナンスされています。安全な病院維持には大切なことです。もちろんMEさんに「まかせっきり」にはせず、研修医に対する機器取り扱いセミナーも「少人数ずつ」MEさんが行い医師のレベルアップも図ってくれています。取りそろえられた、褥瘡用エアマット(左上)も中央管理です。

院内にはPHSシステムが完備しました。患者さんのバーコード認証もできますし、院内、研究室どこにいても連絡が可能です。患者さんの認証ではまず患者さんとのコミュニケーション、でも機器によるfailsafeも大切です。

福利厚生には、こんなことも含まれます。医学文献検索システム、アメニティ改善、保育所---。構内に医学図書館があるのはとても便利ですが、いまやその運営費用も国からの予算だけでは足りなくなっています。

16年度に初期臨床研修が必修化されました。私たちは自治医科大学を卒業された医師や、自治体病院、国保診療所、へき地診療所、県と一緒になって、高知県で「地域保健・医療をきちんと学べるプログラム」を実践しています。研修医、指導医は、どの研修先病院からも、「メディカルオンライン」、「J-DreamU」で日本語の論文をダウンロードできる契約を16年度から結んでいます。

16年度に初期臨床研修が必修化に先駆けては、県内の主要な病院にお願いして、管理型の研修病院になっていただきました。その多くの病院が地域保健・医療の研修では、自治体病院、国保診療所、へき地診療所や保健所で地域保健・医療の研修がばっちりできるようにアレンジしています。そのどこからも「メディカルオンライン」、「J-DreamU」にアクセスできます。

身分保障だって万全。県の方でしっかりとした派遣契約書を交わせる体制を作ってくれましたから、社会保険、労災、医療事故、針刺し事故などどのようなケースにも、大学(あるいは他の派遣元の病院)と派遣先の自治体病院、国保診療所、へき地診療所や保健所とが一緒になって対応します。

総合診療部(平成10年)、医療管理学(18年)、家庭医療学(高知県からの寄付講座:19年)を新設して、これまでの専門店寄せ集め的な大学病院から新しく変わろうとしています。これこそが高知大学医学部の、そして医学部附属病院の「医育」のポリシーでもあります。

もともと高知大学医学部附属病院は初期臨床研修が必修化される前、平成12年からローテート研修を開始し、毎週水曜日には研修医のための時間を作り、共通プログラムを実施していました。特色ある研修プログラムとして成書に取り上げられていた実績は今も脈々と生きています。
(右図書籍に掲載)

大学病院における研修は実際の技能が身に付きにくいと言われた時代もありましたが、必修化後は大学病院以外の病院よりもよく身に付くように改善されています。普通の人が入院するのにcommon diseaseがないわけもないですね。

研修医ルーム開設(15年10月)、医師当直室改修、女性医師当直室増設(18年4月)、研修医ルーム増設・個人机の設置(19年4月)など、どんどん研修しやすい、働きやすい体制作りを行っています。

女性医師が働きやすく、出産や育児の時もできるだけ休職しないですむシステムを考えています。院内の24時間対応保育所の設置もその一環です。他施設、他の大学病院と比べてみてください。働きやすさが実感できます。

19年2月には休職中の女性医師が復職しやすいプログラムも作成しました。これは休職後の復帰プランですから、復帰後はもっとフレックスにしたいと思います。

17年度1億5千万の待遇改善費用が18年度には2億8千万に膨らみました。大きいのは医員(非常勤医師)の待遇改善と大学院生の処遇改善です。

これが普通の大学病院の給与です。大学院生は診療していても給与0。おまけに医員は研修医より給与が低い(金額は社会保険など福利厚生費を含んでいます)。

 週1日程度働く一部の大学院生は時給ですが、ほとんどの大学院生は年収365万円を保証されています。両者とも、万一医療事故や労災が起きても安心。専門医資格と学位が一緒に取れて、16年から給与あり。これは全国で高知大学医学部附属病院だけです。医員の給与も高く、「医員(病院助教)」という助教待遇も新設しています。「病院助教」は今12人です。

法人化でなくなった費用もあります。代替助手制度です。このため海外留学しにくくなりましたが、高知大学医学部附属病院は違います。留学者には本俸の70%を保証し、代替助手(助教)を置きます。どんどん留学してください。海外生活そのものも、海外施設とのつながりも、あなたの未来、そして研究室の財産です。

人、職員、コメディカルスタッフは病院機能を映す鏡です。法人化前と法人化後の非常勤スタッフの人件費を比べてください。まだまだ足りません、そしてこのように非常勤雇用しかできない面がありますが、一緒に頑張って診療報酬を上げてスタッフを増やし、病院機能を良くして行きましょう。19年秋からは病棟クラーク12名も雇用予定です。

そして少しずつ非常勤の方を常勤化する試みも始めています。患者さんのために一生懸命働いていれば、以前は常勤でなかった職種も常勤化される、そうでないとモチベーションは高まりません。

医師当直室、女医当直室、次々にきれいにしています。(研修)指導医に手当(1.5万円/月)を出している病院も少ないですよ。遅滞なく評価入力が行われます。

多剤耐性緑膿菌(全例)やMRSA (多くなった病棟)はパルスフィールドでチェックします。万一同じ菌が複数の患者さんから検出(院内交差感染)されると、すぐにピックアップされます。MRSA検出数も年々減少しています。感染対策や医療安全、栄養管理、創傷管理にも熱心な病院で働いてみませんか?

外来化学療法室も14ベッド体制になりました(19年4月)。身体の具合の悪い方には、ベッドに休んでいただいたまま点滴をうけていただけるように配慮しました。退院後を不安に思われる患者さんにも、安心して外来化学療法をお勧めできます。

地域医療連携室が充実すると看護スタッフも安心して働けます。病院と病院、病院と診療所をつなぐ役割を果たす地域医療連携室の医療ソーシャルワーカー(MSW)は7名で、国立大学病院では一番多い、強力なスタッフです。MSWは入院患者さんのベッドサイドに入院当日うかがって挨拶をしてくれています。

病院職員の健康診断や予防接種、自前で行って節約しています。このような病院や附属学校などの健康診断にもぜひご協力ください。節約分の一定比率を部局の旅費などに還元しています。

あったらいいな、ドラえもんのポケット:患者さんの皮膚を切らないで子宮筋腫や乳がん、骨転移などの治療ができるFUS(MRIガイド下超音波手術装置)。購入を視野に検討しています。

19年8月、岡山大学など計8校と一緒に作ったコンソーシアムが、文部科学省の「がんプロフェッショナル養成プラン」に認定されました。国公私立大学から申請されたプログラムの中から、質の高いがん専門医等を養成し得る内容を有する優れたプログラムの一つとして財政支援を受けます。

都道府県がん診療連携拠点病院にも指定されました。国立大学法人では他8校とともに第一陣でした。がん治療センター、がん相談窓口、緩和ケアチーム、高知県がん診療連携協議会などの取り組みを続けていこうと考えています。

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