円石藻ってどんな生き物?




 円石藻はハプト藻の仲間の単細胞の微細藻類です。細胞の表面にコッコリス(円石)と呼ばれる石灰質の鱗片を持っています。細胞の直径は2-50マイクロメートル(1マイクロメートルは1/1000ミリ)と小さく,肉眼で見ることは出来ません。

 円石藻の種の分類は,おもに細胞表面を覆っているコッコリスの形に基づいて行われています。現生の円石藻としては,これまでに約60属,300種以上が記載されています。

 円石藻は細胞内に葉緑体を持つ独立栄養生物であり,熱帯から亜極域の有光層(水深200m以線の太陽光が届く範囲)に広く分布しています。海水1リットルあたりの生息密度は,熱帯〜温帯の暖かい海では数千〜数万個体,富栄養な温帯〜寒帯の海では数万〜数十万個体に達します。円石藻は,海の主要な第一次生産者の一つです。

 ほとんどの円石藻は浮遊生で,主に外洋域に生息しています。ただし,浮遊生の外洋種の一部は,沿岸水中からも見つけることが出来ます。その一方で,沿岸にのみに分布している沿岸種(約40種)は,外洋からはほとんど見つけることが出来ません。沿岸種の中には,海底や大型藻などに付着して生活しているものもあります。生活様式の違いが,分布範囲の違いと関連しているのかもしれません。

いろいろな円石藻