円石藻の生活史



 単細胞生物である円石藻は,基本的には無性生殖(2分裂)によって増殖します。他のハプト藻と同様に,円石藻は生活史の単相世代(核相N)と複相世代(核相2N)両方において,無性分裂(2分裂)によって増えることが出来ます。

 多くの円石藻は,単相世代(N)と複相世代(2N)では異なった外観をしています。下の図は,Coccolithus pelagicus を例に,円石藻目(Coccolithales)生活史を示しています。生活史の複相世代には,ヘテロコッコリスとよばれる,複雑な形の炭酸カルシウムのユニットを組み合わせた比較的大型名コッコリスを形成します。ヘテロコッコリスは細胞内のゴルジ体などの器官で形成されます。生活史の単相世代においては,ホロコッコリスと呼ばれる,炭酸カルシウムの単結晶を組み合わせた(積み上げた)小さめのコッコリスを形成します。ホロコッコリスの石灰化の過程については,まだよく分かっていません。

 イソクリシス目(Isochrysidales)の円石藻は,生活史の複相世代には円石藻目と同じようにヘテロコッコリスを形成しますが,単相世代においては石灰化を行わず,コッコリスを形成しません。