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2019年度 「動物分類学」 Q & A  *作成中.... (更新日:2019.5.16) 遠藤

新種記載や学名,和名について

1) Q 新種の記載にはどれぐらいの時間がかかりますか?

A.私が関係したものでは,早いもので標本の採集(=新種発見)から論文の出版まで11ヶ月ぐらいでしょうか.遅いものでは,いろいろな事情があって,発見から30年以上かかったものもあります.

2) Q 新種を記載するとお金がもらえますか?

A 標本の採集から論文の作成まで,お金がかかることが多く,新種を記載してお金をもらえることはありません.ただし,研究費や獲得した助成金を,調査や採集,論文の作成と出版(英文校閲料,超過印刷ページ代や論文の別刷代)の経費に使うことができます.研究費がないと自腹です...(数万〜十数万円).

3) Q 何種の魚に名前をつけたのですか?(遠藤の研究で)

A 種の学名は21種,標準和名は51種(そのうち日本産は39種).ソコダラ科の属名の置換名1つ.このページを見て下さい.


標本について

1) Q 分類学を学ぶ上で魚類は扱いやすいですか?

A 魚類の標本は基本的には液浸標本で,ホルマリンで組織を固定し,アルコール(エタノール70%や イソプロピルアルコール50%)で保管します.慣れが必要ですが,極めて小さい標本(仔稚魚など)や壊れやすい標本(体が脆弱なもの),大型の標本は扱いにくいです.

2) Q ネオタイプなどには,状態がよい個体が選ばれるのですか?それとも何か特徴のある個体が選ばれやすいのでしょうか?

A 学名の基準となる担名タイプ(ホロタイプ,シンタイプ,レクトタイプ,ネオタイプ)は,状態がよいもの,その種の典型的な特徴を示しているもの(もし標本数が十分あれば,成体でその種の特徴となる形質が十分に発現している個体), 命名した後に新たな指定するネオタイプの場合は,タイプ産地(失われた担名タイプが採集された場所)も考慮します.

3) Q 標本を作るのに「上手にできた」や「失敗した」ということはあるんですか?

A 標本写真を取る前に,鰭を起こして,根元をホルマリンで固定して,形を整えますが,標本の鰭の一部を立て忘れたり ,不自然に立て過ぎたり ,立て方が悪かったり....そのほかにも標本作成時に注意すべき点がたくさんありますが,特に慣れていない初心者や注意力足りない時には失敗することがあります.



研究について

1) 研究のやりがいは?

Q 新しいことを発見し,それらを学術論文として公表できた時でしょうか(新種の発見,記載と命名も含めて).


研究者や大学教員について

1) Q  ドクターになるために,今のうちにやっておいた方がよいこと,やるべきことは何ですか?

A 英語をよく勉強して下さい.専門の文献を読むため,論文を書ためく,また海外の研究者とのコミュニケーションを取るために必要です.興味を持った分類群や分野に関する英語の本や論文を読んでみて下さい.

2) なぜ動物分類学の教授になったのですか?

A たまたまです.高知大の私の先生(岡村収先生)がちょうど定年退官する半年前に北大で博士の学位を取得して,その後東北水研でポスドクの研究員をしていました.その間に高知大の助手の公募が出たので,運よく出身研究室の教員になることができました.大学に就職できるかどうかは,博士の学位を持っていること(あるいは取得見込み)とある程度の業績,それに運とタイミングです.大学の先生よりは,自然史博物館の研究員になりたかったです.

食用としての魚類について

1) Q 今まで食べた中で一番美味しい魚とその調理法は?

A アカムツ(スズキ目ホタルジャコ科の高級魚,地方名は「のどぐろ」)の焼き切りです(遠藤の個人的な嗜好).
*リンクはぼうずコンニャクのお魚三昧日記

2) Q 魚を食べるのは好きですか?

A  魚を食べることも大好きなので,学生時代から料理したり,干物を作ったりしています. 肉よりは魚です.

3) Q 研究対象は食べられる魚と食べられない魚,どちらが多いですか?

A 数えたことは,ありません.なかなか標本が採集できない魚は,まず研究用の標本にします. たくさん標本が採集できれば,味見してみようかと思うこともあります.

4) 今まで食べたタラの中で ,一番おいしかったタラは何ですか?

A 冬場に漁獲される大きなマダラはおいしかったです.鍋で食べましたが,オスの精巣は美味です.


その他の質問


期末試験について

1) Q 試験範囲を知りたいのですが?

A 講義で扱う全部が試験範囲です. 過去問を見て対策を考えて下さい.

2) Q テキストを 読んでおけば,ある程度点数が取れますか?

A テキストなんども読んで,内容をよく理解していれば,ある程度点数は取れますが,講義に出てきた専門用語もよく勉強して下さい.