ホーム > 教授挨拶
木村 智樹教授の写真
放射線治療を通じて
高知県のがん診療の向上へ貢献したい
放射線腫瘍学講座 教授
木村 智樹
KIMURA TOMOKI
 高知大学医学部放射線腫瘍学講座のホームページへようこそ。
 当講座は令和2年(2020年)12月より、高知大学医学部附属病院において放射線治療科として診療を開始し、令和3年(2021年)12月より放射線腫瘍学講座として新たな船出を迎えました。
 放射線治療は「がん治療の3本柱」の一つとして重要な役割を果たしています。特に最近では治療機器の進化に伴い、定位放射線治療(SRT/SBRT)や強度変調放射線治療(IMRT)といった高精度放射線治療が日常的に実施可能となり、患者さんにより安全・安心な治療を提供することができるようになりました。一方で、本邦での放射線治療の認知度は外科治療や薬物療法と比較するとまだまだ低い状況です。欧米では全がん患者さんの約6割が全治療期間を通じて放射線治療を受けていますが、本邦では25%程度というデータもあります。日々の診療を通じて、一人でも多くの患者さんに放射線治療の良さを実感してもらい、放射線治療をより認知してもえればと考えています。
 研究面においては、まだ十分とは言えない放射線治療に関する「エビデンス」を様々な臨床試験を通じて、少しでも構築していきたいと考えています。私はこれまで様々な臨床試験を実践する機会を得てきており、現在も継続中です。当科でも積極的に臨床試験に参加することで、高い「エビデンス」を提供し、放射線治療のすそ野を広げていきたいと考えています。
 この度、私は平成7年に高知医科大学を卒業して以来、25年ぶりに再び母校に戻ることができ、大変うれしく感じるとともに、責任の重さを痛感しています。高知県の放射線治療専門医は少なく、まずは放射線治療を志してくれる人材を育成することが急務と考えております。学生や研修医の皆さんには、講義・実習、日常臨床での研修を通じて、放射線治療の魅力を発信し、一人でも多く放射線治療医として、一緒にがん治療を行っていければ、これほどうれしいとはないと思います。
 全国的にも高齢化が10年進んでいるといわれる高知県において、「切らずに治す」放射線治療の役割はより重要性を増す一方と考えており、安全で低侵襲な治療を提供できるよう、高知県のがん診療の向上に微力ながら貢献していきたいと思います。

講座の歴史

高知大学医学部の前身の高知医科大学は昭和51年(1976)年国立の医科単科大学として発足し昭和59年(1984年)大学院医学研究科が設置されました。平成15年(2003年)高知大学と統合し、高知大学医学部となりました。
高知大学における放射線治療部門は、前身の放射線医学講座が開講した昭和55年(1980年)4月より前田知穂初代教授、平成5年(1993年)1月より吉田祥二第2代教授、平成17年(2005年)5月より小川恭弘第3代教授、そして平成26年(2014年)11月より現職の山上卓士第4代教授の元、放射線医学講座の一部門として数名の専門医により担当されていました。しかし近年の放射線治療の著しい進歩の中で、全国的に放射線診断学と放射線腫瘍学との分離の必要性が求められ、私は令和2年12月に創設されました高知大学医学部附属病院放射線治療科の初代科長として着任いたしました。令和3年12月からは医学部医学科内に放射線腫瘍学講座を創設して頂き、放射線腫瘍学講座の初代教授に着任致しました。