Phylum Arthropoda 節足動物門（1,214,295種+，化石種27,745**）海産，淡水産，陸産　＊全動物の約85%以上を占める

＊形態に基づくこれまでの分類体系
　Subphylum Cheliceriata 鋏角亜門（きょうかく）　カブトガニ類，クモ類，†ウミサソリ類など
　Subphylum Pantopoda ウミグモ亜門　ウミグモ類
　Subphylum Crustacea 甲殻亜門　エビ類，カニ類など
　Subphylum Uniramia 単枝亜門　昆虫類，多足類など

＊分子系統解析による新しい分類体系　４亜門を認めるが上記の分類体系と異なる
　Subphylum Cheliceriata 鋏角亜門　カブトガニ類，ウミグモ類，クモ類など
　Subphylum Myriapoda 多足亜門　ムカデ類，ヤスデ類など
　Subphylum Crustacea 甲殻亜門　エビ類，カニ類など
　Subphylum Hexapoda 六脚亜門　昆虫類
　＊甲殻亜門と六脚亜門が“汎甲殻類”とされる単系統群を形成する仮説が有力である

Regier et al. (2010)　＊最新の分子系統仮説
節足動物門 Arthropoda
　鋏角類 Chelicerata＊カブトガニ類，クモ類，サソリ類，ウミグモ類
　大顎類 Mandibulata
　　多足類 Myriapoda＊ムカデ類，コムカデ類，エダヒゲムシ類，ヤスデ類
　　汎甲殻類 Pancrustacea
　　　Oligostraca＊シタムシ類（五口動物），チョウ類，カイムシ類など
　　　Altocrustacea
　　　　Vericrustacea＊十脚甲殻類（エビ，カニ，ヤドカリ），カイアシ類，蔓脚類、カブトエビ類など
　　　　Miracrustacea
　　　　　Xenocarida＊ムカデエビ類 (Remipedia)，カシラエビ類 (Cephalocarida)
　　　　　六脚類 Hexapoda＊ 昆虫類

節足動物の特徴
１．真体腔で左右相称，体外と体内ともに体節構造が見られる　＊少ないものでも頭部と胴部の２つに分けられる
　　＊体腔は退化的で生殖器官や排出器官にわずかに残る
２．発生様式は典型的な前口動物型で，体節が端細胞 (teloblast) から生じる
３．キチン質とタンパク質からなる外骨格とその体表にはクチクラ層が発達する
　　＊基本的に外骨格は，背板，左右の側板（pleurite），そして腹板（sternite）の４枚の板で構成される
４．循環器は血体腔による開放血管系（opend circulatory system)
　　＊管状の心臓は背側の囲心腔にあり，心門をもつ（対になった開口が多数ある）　
５．脳とはしご状神経系 (ladder-like nerve system) がよく発達する　
　　＊神経索 (nerve cord) は腹部正中線に沿って走る
６．頭部側方に１対の複眼と中央部に１つ以上の単眼をもつ
７．各体節には対となる付属肢がある
８．筋肉系として縦走筋のみをもつ　
９．大部分の種は後腎管 (metanephridium) をもつ　＊少数は原腎管をもつ
９．消化管は発達する　＊前腸（胃），中腸，後腸に分かれる
10． 呼吸器は水中にすむ種では鰓（カブトガニ類では書鰓），陸上にすむ種では気管あるいは書肺．
11．外骨格の脱皮により成長する　＊エクジソンのホルモン
12．精子に機能的鞭毛がない（移動性に乏しい）　＊ただし，数グループの精子を除く
13．雌雄異体　＊発生様式は様々（直接，間接，混合発生）

リンク

昆虫と植物が作る生態系の基盤（JT生命誌研究館・生命誌ジャーナル2006年秋号）

参考文献　＊系統類縁関係に関する最近の論文

*Mallatt, J. and G. Giribet. 2006. Further use of nearly complete 28S and 18S rRNA genes to classify Ecdysozoa: 37 more arthropods and kinorhynch. Mollecular Phylogenetics and Evolution, 40(2006): 772–794.

*Regier, J. C. et al. 2010. Arthropod relationships revealed by phylogenomic analysis of nuclear protein–coding sequences. Nature, 463: 1079–1084.

**Zhang, Z.-Q. 2011. Phylum Arthropoda von Siebold, 1848. Pages 99-103. In: Zhang, Z.-Q. (Ed.) Animal biodiversity: an outline of higher-level classification and survey of taxonomic richness. Zootaxa 4138.