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Phylum Brachiopoda 腕足動物門(わんそく)*ギリシャ語で brachion=腕,podus=足の意味
 Class Inarticulata 無関節綱 *ミドリシャミセンガイ
 Class Articulata 有関節綱
*約335種
 **化石種は26,000種


腕足動物の特徴
1.体サイズは 殻幅10cm 未満で,すべて海産,底生性の固着生活者.
2.三胚葉性,左右相称,真体腔(基本的には腸体腔),少体節性(二体部性).
3.外套膜が分泌する炭酸カルシウムまたはキチン質性のリン酸カルシウムの殻 を2枚もつ 
  *軟体動物の二枚貝に似るが,背腹に位置する点で異なる(二枚貝の殻は左右)
4.触手冠は多数の細かな触手を備え,円形またはらせん形となり,殻内の外套腔内に位置する.*懸濁物食者
5.U字型の消化管をもち,肛門は触手冠の外側に開くか,またはない(有関節類)
6.不完全な開放血管系をもつ.
7.1〜2対の後腎管をもち,生殖輸管を兼ねる.
8.食道を囲む環状神経節があり,そこから各器官へ神経が伸びる.
9.柄(肉茎)をもち,それ以外の部分は殻内に収まる.*肉茎のないグループは腹側の殻がセメントで基質に固着する.
10.ほとんどは雌雄異体で,卵割は放射型.原口は閉じて,成体の口と肛門は2次的に形成される.
11.シャミセンガイ類の
幼生はプランクトン栄養型で変態せずに,そのまま着底し,成体となる.チョウシンガイやホウズキガイ類の幼生は,殻を欠き,卵黄栄養型で,短い浮遊期間を経て付着・変態し,成体となる.

系統
 カンブリア紀前期に出現し,古生代には繁栄したが,その末期には激減した.約26,000種の化石種が知られる.以前には,触手冠をもつ動物として箒虫と腕足,外肛(苔虫)動物が“触手冠動物 Lophophorata”としてまとめられた.その後,外肛動物は箒虫と腕足とは系統的に異なると考えられている.最近の分子系統解析の結果からは,箒虫動物の姉妹群となることが強く示唆され,これら2つをまとめた腕動物門 Brachiozoa も提唱された.


H. ENDO