分類体系のページへ戻る脊索動物門のページへ戻る 更新日:2014/01/23


Subphylum Cephalochordata 頭索動物亜門(とうさく) (33種) ナメクジウオ類 *数〜8 cm
 Order Amphioxiformes ナメクジウオ目
  Family Branchiostomidae ナメクジウオ科
   Genus Branchiostoma ナメクジウオ属 *23種+?
   Genus Epigonichthys カタナメクジウオ属 *6種
   Genus Asymmetron オナガナメクジウオ属 *2種
    *A. inferum Nishikawa, 2004 ゲイコツナメクジウオは,鯨骨生物群集で発見された深海種(東シナ海の水深229m)
    *世界では1科3属33種を含み,日本には3属5種が分布 する


おもなの特徴
1.体は基本的には左右相称で,細長く側扁し,両端が尖る *体の左右非相称性が見られ, 幼生期には顕著
2.背側の神経索と脊索は,体の前端から後端まで伸長する
3.明確な頭部をもたず,中空の背側神経索は前端で脳を形成しない
4.嗅覚,視覚と聴覚器官がない *光を感知する細胞は神経索内に散在
5.咽頭部は体の半分を占め,かご状の鰓嚢(さいのう)となる *側壁には多数の鰓裂が開き,腹側には長い内柱をもつ
6.口(入水孔)は体の前端腹側に開き,肛門前方に出水孔をもつ 
 *水は口から鰓嚢の鰓裂を抜け,囲鰓腔に出て,出水孔から排出される.水流は鰓裂を縁取る繊毛により生じる
7. 口の周囲に外鬚をもつ
8.表皮は透明で,クチクラ化する
9.体に発達した筋節をもつ
10.不完全な閉鎖血管系で,呼吸色素はない
11.終生にわたり肛門後方に尾部をもつ
12. 排出系は原腎管に似る
13.雌雄異体で体外受精
14. 浮遊幼生期をもつ *変態後には砂底へ潜る
15. すべて海産の濾過食者 *深海性のゲイコツナメクジウオを除き,浅海の砂底に生息する

系統
近年の分子系統解析から,頭索動物は脊索動物内で最初に分岐し,尾索動物と脊椎動物のクレードの姉妹群となる.

化石
カナダのロッキー山脈のバージェス頁岩から産出した Pikaia gracilens ピカイアと中国の澄江(チェンジャン)から産出した Haikouella 属の2種が知られる.


リンク
ヒガシナメクジウオの氏素性」東邦大学理学部生物学科系統分類学研究室 西川輝昭
ナメクジウオゲノム解読の成功により脊椎動物の起源が明らかに」京都大学のウェッブページ(2008.06.12)
形の進化とゲノムの変化−ナメクジウオが教えてくれること」ピーター・ホランド 季刊誌「生命誌」通巻23号
ナメクジウオからヒトへ カンブリア紀に重複した遺伝子を不要な部位でOFFにして進化〜遺伝子が働く部位の下絵は5億年以上前に出来ていた 腎臓病の治療など医療応用に期待〜」奈良先端技術大学大学院


参考文献
西川輝昭.2012.頭索動物亜門 Cephalochordata. P. 203 in 藤倉克則・奥谷喬司・丸山 正,編著.潜水調査船が観た深海生物.深海生物研究の現在.第2版.東海大学出版会,秦野.
Putnam, N. H. et al. 2008. The amphioxus genome and the evolution of the chordate karyotype. Nature 453: 1064-1071 (19 June 2008). *Fig. 1. Bayesian phylogenetic tree of deuterostome relationships...
安井金也.2012.頭索動物.Pp. 317-320.日本進化学会,編.進化学事典.共立出版,東京.
安井金也・窪川かおる.2005.ナメクジウオ−頭索動物の生物学.東京大学出版会,東京.


遠藤広光 ENDO, Hiromitsu
高知大学理学部海洋生物学研究室