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Phylum Entoprocta 内肛動物門(ないこう)*ギリシャ語で entos=内側,proktos=肛門の意味
*4科約150種(日本では4科7属約30種)


内肛動物の特徴
1.体サイズは 5 mm 以下で,海水から淡水域での固着生活者.*淡水産のミズウドンゲ属以外はすべて海産種
2.三胚葉性,左右相称,無体腔,体節を欠き,体型は“足付きワイングラス”型.
 *体壁と腸の間隙はゼラチン質の“間充織”で満たされる(埋められた擬体腔との解釈もある)
3.体は多数の繊毛をもつ触手と萼部(がくぶ=本体部分),柄部(へいぶ)からなる.
4.触手は萼部上縁に配列し,触手環列(tentacular crown)を形成する.
5.口と肛門は萼部の触手環列内に開口し,U-字型の消化管でつながる.
6.神経系は単純で,神経節から触手,萼部,柄部および走根へ伸びる.
7.体壁にはクチクラをもつが,筋肉層はみられない.
8.ガス交換系と循環系を欠き,1対の原腎管をもつ.
9.雌雄同体または異体で,体内受精した卵は萼部の前庭で保護される.ふ化後はトロコフォア型幼生となる.
 *卵割は“らせん型”で間接発生
10.群体または単体で,出芽による無性生殖もみられる.

系統
 外形の類似から古くは外肛動物と近縁と考えられていたが,その後発生様式など多くの特徴が異なることが判明した.最近の分子系統解析では
,担輪動物(Trochozoa)にまとめられ,有輪動物のと近縁性も示唆された.
担輪動物:冠輪動物のうち,紐形,軟体,星口,ユムシ,環形,内肛


H. ENDO