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Phylum Mollusca 軟体動物門(93,195*)
 “双神経亜門”
  1) Class Solenogastres 溝腹綱 カセミミズ類
    *世界に約200種,日本に約20種 海産
  2) Class Caudofoveata 尾腔綱 ケハダウミヒモ類
    *世界に約70種,日本に2種 アッケシケハダウミヒモ,ヤマトケハダウミヒモ
  3) Class Polyplacophora 多板綱 ヒザラガイ類
    *世界に約800種,日本に約100種 海産
 “有殻亜門”
  4) Class Monoplacophora 単板綱 ガラテアガイ類(ネオピリナ類) 
    *体節制が見られる原始的なグループ.深海底にすみ,世界で約20種が知られる
  5) Class Bivalvia 二枚貝綱 アサリ,シジミ,ホタテガイ 
    *世界に約25,000種,日本に約1,500種 海・汽水・淡水
  6) Class Scaphopoda 堀足綱(くっそく)ツノガイ類 
    *世界に約500種,日本に約70種 海産
  7) Class Gastropoda 腹足綱 巻貝類,ウミウシ類 
    *世界に4万種以上 海・汽水・淡水,陸上
  8) Class Cephalopoda 頭足綱 イカ・タコ類,オウムガイ,絶滅したアンモナイト類 すべて海産
    *イカ類は世界に約650~680種,日本に約170種 
    *タコ類は世界に約200種,日本に約60種


軟体動物の特徴 *各グループの体制は多様化し,下記の特徴がすべてに共通するわけではない.
1.真体腔(裂体腔),三胚葉性(退化的),左右相称(一部のグループは二次的に不相称)で体節構造を欠く.
2.体は外套膜(mantle)で覆われ,その上皮からの分泌物で貝殻(shell)を形成する.
3.外套腔(mantle cavity)がある.
 *外套腔に櫛鰓,嗅検器(osphradium =化学受容器)があり,腎口,生殖口および肛門が開口する.
4.櫛鰓(ctenidium しっさい,くしえら)をもつ.
5.筋肉質の足が発達する.
6.歯舌(radula)をもつ.
7.内臓は内臓塊(visceral mass)を形成する.
8.消化管から中腸(mid-gut)と中腸腺(mid-gut gland)が分化する.
 *中腸腺は砕いた食物微粒子を中に取り込んでの細胞内消化,消化酵素の分泌,グリコゲンの貯蔵などの役割をもつ
9.循環器系はおもに血体腔(hemocoel)からなる開放血管系
をもつ.
 *心臓は背側後方の囲心腔内にあり,心耳と心室に分かれる.*呼吸色素はヘモシアニン.
10.トロコフォア幼生(trochophore larva)と通常はベリジャー幼生(veliger larva)をもつ.

 *直接発生のグループや種も見られる.
11. 一般に雌雄異体だが,雌雄同体の種も見られる.


佐々木(2010)による軟体動物の定義(一般的な形質であるが,これらを完全にもつグループはいない)
1.体は左右相称.
2.体は伸縮自在で頭部,足,内臓塊に分かれる.
3.炭酸カルシウムの殻または棘をつくる.
4.腹側に,匍匐のために足がある.
5.体の背面は外套膜に覆われる.
6.外套膜は部分的に突出して垂れ下がり,外套腔とよばれる腔所を形成する.
7.外套腔内に呼吸または換水のための櫛鰓をもつ.
8.外套腔内に粘液腺あるいは鰓下腺をもつ.
9.においを感じるための嗅検器をもつ.
10.頭部に餌をかき取るための歯舌をもつ.
11.頭部の神経環から2対の神経が伸びる.


参考文献
佐々木猛智 (2010) 貝類学.東京大学出版会,東京.383pp.


H. Endo. BSKU.