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体の相称性

 動物の体の相称性 (symmetry) は,その生活様式により異なる.相称とは生物の形態が,点,線,面によって等価に区分されることである.浮遊性,固着性や定座性の動物は,周囲からの刺激(捕食者や餌生物の存在)を感知するため,全方向へ(あるいは固着面以外の方向)対応できるように球相称あるいは放射相称の体をもつ.一方,左右相称の体は,運動性に優れ,感覚器官が体の前方で発達する.

1)球相称 spherical symmetry 
  ★ボルボックスなど浮遊性の原生動物

2) 放射相称 radial symmetry(oral-aboral axis 口部-反口部を貫く体軸)
  ★刺胞動物や棘皮動物など固着あるいは定座性の動物

3)二放射相称 biradial symmetry 
  ★浮遊性の有櫛動物

4)左右相称 bilateral symmetry (frontal plane 額面,前頭平面;median plane 正中面;sagittal plane 矢状面;transverse plane 横断面)
  ★多くの後生動物(2次的に不相称となるものあり.例えば,軟体動物の腹足類)

 頭化 cephalization
 体の前方に神経節や口が位置し,頭部が形成されること.体の左右相称化により,運動性が高まるとともに,体前方に頭部が形成されることで,より効率的に餌の探索や捕食ができるようになった.

5)不相称 asymmetry 
  ★アメーバや海綿動物