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Phylum Tardigrada 緩歩動物門(かんぽ) 1,157種 *イタリア語で“tardo=のろい,grado=歩み”の意味 
 Class Heterotardigrada 異クマムシ綱 2目12科55属444種 *多くは海産
 Class Mesotardigrada 中クマムシ綱 1目1科1属1種 *オンセンクマムシ1種のみを含む
 Class Eutardigrada 真クマムシ綱 2目4上科10科55属712種
 *ほとんどは淡水産か陸産

海産,淡水産および陸産の自由生活者.水棲の種は底生性,陸産種はコケ類や地衣類の表面や土壌中にすむ
体サイズは0.1〜1 mm 程度


緩歩動物の特徴
1.体はずんぐりし短く,頭部と4つの胴節からなる5体節.4つの付属肢とその先端に4〜10本の鉤爪または粘着葉をもつ.偽体腔が発達する
2.体表は薄いクチクラで覆われ(非キチン質),脱皮する
3.口部の歯針(oral style)で,動植物などの液汁を吸う
4.はしご状の神経系をもち,眼点をもつ種も見られる
5.消化管は直走し,体の後方腹側に肛門をもつ
6.循環器系と呼吸器系はない
7.排出系として腸内に開口する2本のマルピーギ管がみられる *昆虫類やクモ類,多足類に共通
8.クリプトビオシスと呼ばれる休眠状態になり(体は樽形になる),極限環境に耐える能力が著しく高い
9.普通は雌雄異体で,脱皮時に卵を脱皮殻に産みつけることがある


系統
 節足動物と有爪動物に近縁で,これらとともに汎節足動物 Panarthropoda としてまとめられる.


参考文献

Guidetti, R. and R. Bertolani. 2011. Phylum Tardigrada Doyere, 1840. Pages 96-97. In: Zhang, Z.-Q. (Ed.) Animal biodiversity: an outline of higher-level classification and survey of taxonomic richness. Zootaxa 3148.


H. ENDO