取組事例

　乳酸菌は、日常的に酪農製品や発酵食品の乳酸発酵を促す身近な細菌であり、食品の消化性・嗜好性・保存性を高めるだけでなく、ヒトの腸内細菌叢を良好に維持することに関与する細菌です。特に、塩蔵が主体の和食と異なり、酪農品における乳酸菌に生育は、多様な病原菌が生育できないpH環境を維持して、穏やかに生育を続ける乳酸桿菌が、腐敗に関わる微生物の生育を阻止する効果があります。雑食性のヒトは、色々な食品の摂食を介して乳酸菌を腸内細菌叢へ誘導しますが、稀少動物を含む多彩あ動物達も、それぞれ特有の嗜好に見合った餌料から乳酸菌を取り入れていますので、動物特有の腸内細菌叢からも多様な動物性乳酸桿菌が見出されます。一方、酸度が高く糖度が低い果実やその搾汁残渣でも容易に乳酸発酵が認められ、廃棄物の分解が穏やかに進み続けるように、厳しい環境条件下で安定に生育する植物性乳酸桿菌が豊富で、動物の消化器官系でも安定に生息する乳酸菌の探索に有効です。高ストレス環境で安定に増殖する野生乳酸菌は、地域資源の有効利用に役立つ可能性を秘めています。

　地域資源から分離した乳酸菌に由来する生物機能を利用した物質生産と発酵利用