公開日 2011年3月28日
教育研究部総合科学系複合領域科学部門の渡辺 茂准教授が、粒子表面に生体分子を容易に固定化できる金ナノ粒子の開発に成功しました。
この金ナノ粒子は,還元剤および表面保護剤としてチオグルコースを採用しており,粒子表面がチオグルコースで被覆されています。 さらに,その一部が酸化されて形成したカルボキシル基が粒子表面に存在し,分散安定性と表面の反応性の向上を実現しました。
これまで生体内の抗原の分布や動きを観察するため,抗体等を粒子表面に担持させた金ナノ粒子("免疫金コロイド") が用いられてきました。このような金ナノ粒子では,生体分子が静電的な結合力を介して無秩序に吸着させられており, 粒子表面からの脱離や吸着後の機能喪失が問題となっています。 また,分子量の小さな生体分子は,金-硫黄結合を介して固定化する必要があり, チオール基を含む分子だけしか固定化できないなど担持できる分子が限られていました。 今回開発した金ナノ粒子は,従来の金ナノ粒子に比べて,分子の大きさに関係なく幅広い生体分子の固定化を可能にすることが期待されています。