◆医学部微生物学講座の橋田裕美子助教及び大畑雅典教授らの研究グループの研究成果が学術誌『Journal of Clinical Virology』に掲載されました

2023年6月23日

 医学部微生物学講座の橋田裕美子助教及び大畑雅典教授らの研究グループの研究成果が、パン・アメリカ臨床ウイルス学会/欧州臨床ウイルス学会の学術誌『Journal of Clinical Virology』に掲載され、2023年6月15日に電子版が公開されました。

 クタウイルスは2016年に発見された新しいヒトパルボウイルスで、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)との関連が欧州の研究グループから報告され、現在注目されています。しかしながら、欧州以外の地域でのデータやクタウイルスが患者の臨床経過(※1)に及ぼす影響については明らかにされていませんでした。

 本研究グループは、CTCL55例を含む141例の皮膚悪性腫瘍生検材料からクタウイルスの検出を試みました。その結果、CTCLの中で最も一般的なリンパ腫である菌状息肉症でクタウイルスの検出率が有意に高く、それらウイルスの遺伝子型は、日本型を示す変異株でした。しかも、クタウイルス陽性菌状息肉症の症例は、陰性例に比べて有意に疾患特異的生存期間(※2)が短いことが判明しました。

 本研究により、わが国においてもクタウイルスと菌状息肉症との関連が明らかにされ、クタウイルス感染が患者予後に影響を与えることが示唆されました。本研究グループは、これまでにクタウイルスが不顕性感染の状態で皮膚に常在し得ることを明らかにしています(Virology Journal 20:69, 2023)(※3)。

 今後はクタウイルスが菌状息肉症の発症機序にどのように関わっているのか、さらに研究を進めていきます。

 本研究は、本学医学部皮膚科学講座との共同研究です

 

<論文名> Involvement of cutavirus in a subset of patients with cutaneous T-cell lymphoma with an unfavorable outcome

<和訳> 予後不良の皮膚T細胞リンパ腫患者におけるクタウイルスの関与

 論文の詳細はこちらから

 

(※1)臨床経過…診断後の病状や検査結果の推移、治療効果などをまとめたもの。

(※2)疾患特異的生存期間…特定の疾患について、患者が診断または治療、研究の開始から死亡するまでの期間のこと。問題の疾患以外が原因で死亡した場合は算定対象とされない。

(※3)令和5年4月28日掲載:◆医学部医学科微生物学講座の橋田裕美子助教及び大畑雅典教授らの研究グループの研究成果がウイルス学の国際誌『Virology Journal』に掲載されました

 

 医学部微生物学講座のホームページはこちらから

●このページについてのお問合せは...

お問合せフォームへ

掲載されている内容について、不明点や疑問に感じたことなどございましたらお気軽にお問合せください。

インフォメーション

インフォメーション
AED設置場所