公開日 2025年5月19日
対馬でカワウソの生息を約5年ぶりに確認
— 対馬でカワウソが繁殖している可能性が浮上—
2017年、長崎県対馬において野生のカワウソが撮影され、国内で約40年ぶりとなる生息確認として大きな注目を集めました。2018年には糞からのDNA解析によって生存が科学的に確認されましたが、それ以降は生存を裏付ける明確な証拠は得られていませんでした。
このたび、自然科学系理工学部門の宇田幸司准教授らの研究グループは、2024年2月に対馬で採取されたカワウソとみられる糞を分析し、そのミトコンドリアDNAの全塩基配列を解読しました。その結果、この個体は韓国に生息するユーラシアカワウソと遺伝的に極めて近縁であり、2017~2018年に確認された個体群と同一の系統に属することが判明しました。これは、対馬において約5年ぶりにカワウソの生息が再確認されたことを示すとともに、これまでに確認された個体が対馬で繁殖していた可能性もあることが示唆されました。
本研究は、対馬におけるカワウソの継続的な生息や定着の可能性を検討するうえで重要な手がかりとなる成果であり、将来的な保全方針や再導入の議論に向けた科学的基盤の一つとなるものです。
この成果は、2025年5月17日に開催された第76回日本動物学会中国四国支部大会(愛媛県松山市)において発表されました。
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