公開日 2025年8月25日
マンホールを活用した市中の薬剤耐性菌の実態調査
―下水サーベイランスをマンホールへ適用して市中の薬剤耐性菌を調べる方法を提案―
自然科学系農学部門の井原賢教授の研究グループと京都大学、東京大学の共同研究の成果が、2025年6月30日付けで「Water Research」誌オンラインに掲載されました。
COVID-19パンデミックが起こって以来、下水処理場で採取した下水の新型コロナウイルスを測定することで市中の感染状況を把握する研究、下水サーベイランスが世界的に注目を集め、日本を含む多くの国で活用されています。そして、下水サーベイランスは、新型コロナウイルスに限らず様々な病原ウイルスや薬剤耐性菌の調査に活用が広がっています。
井原教授の研究グループは、下水サーベイランスを都市のマンホールから採取した下水へ適用して、市中の薬剤耐性菌の実態を把握することに世界で初めて成功しました。日本のある都市において市内全域のべ33か所のマンホールを2022年1月から2024年3月まで採水し、薬剤耐性大腸菌を培養法とPCRによる薬剤耐性遺伝子検出によって調査しました。その結果、マンホール周辺の土地利用状況と薬剤耐性菌数に相関があることを明らかにしました。また、薬剤耐性大腸菌の全ゲノム解析によって、都市の下水に存在している基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌及びカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の遺伝子的特徴を解明するとともに、都市の広範囲に存在していることを明らかにしました。
この研究成果は、都市における薬剤耐性菌の蔓延状況の把握にマンホールでの下水サーベイランスが有効であることを実証したものであり、今後の活用が期待されます
【論文情報】
論文タイトル:Occurrence of antibiotics and antibiotic-resistant bacteria in a Japanese city revealed by wastewater surveillance in the sewer system
著者:Yu Tang, Ryota Gomi, Haruka Takeuchi, Fumitake Nishimura, Masaru Ihara
雑誌名: Water Research, volume 285, Article number: 124136 (2025)