◆総合科学系地域協働教育学部門の廣瀬淳一教授の研究成果が、国際誌『Discover Education』オンライン版に掲載されました

公開日 2025年11月12日

地域で生活するうえで尊敬され・継承される知識や技能の伝承が、

人々の探求心と幸福感に関わる可能性

―高知県嶺北地域での調査から―

 

 総合科学系地域協働教育学部門の廣瀬淳一教授は、高知県嶺北地域に暮らす住民を対象に、地域で生活するうえで尊敬され・継承される知識や技能の伝承が、人々の探求心(inquisitiveness)(注1)、次世代への関心(generativity)、そして主観的幸福感(SWB: Subjective Well-Being)とどのように関連しているかを調査しました。

 本研究は、住民や町役場職員との協働により、地域で生活するうえで尊敬され・継承される知識や技能を測定するための独自尺度を開発した点にも特徴があります。調査は484名から収集した有効回答を対象とし、回帰分析や構造方程式モデリング(SEM)を用いた統計的分析を行いました。その結果、以下の知見が得られました。

 

●次世代性の高さは主観的幸福感の高さに関連している可能性がある。

●探求心は、次世代性を介して主観的幸福感に関連している可能性がある。

●地域で大切にされてきた技能や知識を受け継いだ人は、探求心や次世代性を介して主観的幸福感に関連している可能性がある。

 

 これらの結果は、地域社会に伝わる知識や技能が、単なる生活技術の継承にとどまらず、持続可能な社会に必要な人材育成や地域への愛着形成にも関わっている可能性を示しています。

 本研究は、地域教育と世代間交流の意義を再認識させると同時に、世界各地で進む「持続可能な地域社会づくり」にも学術的な示唆を与える成果です。引き続き、地域と連携しながら、学術的知見に基づく政策提言や教育プログラムの開発を通じて、持続可能でしなやかな社会の構築に資する研究を進めていく予定です。

 

 この研究は、Springer Nature系の国際誌『Discover Education』オンライン版に9月30日付で掲載されました。

 

※注1:探求心(inquisitiveness)とは、好奇心に基づく問いかけ、対人関係や実践的な関与、環境への能動的な姿勢を特徴とする資質を指します。

 

 

【論文情報】

  論文名:Inquisitiveness, generativity, and subjective well-being in relation to intergenerational skills and knowledge: Evidence from a rural Japanese community(地域に特有の技能や知識の伝承が、人々の探求心と幸福感に関わる可能性―高知県嶺北地域での調査から―)

 著 者:廣瀬 淳一(高知大学 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門)

 掲載誌:Discover Education

 DOI:https://doi.org/10.1007/s44217-025-00811-0

 公開日:2025年9月30日

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