2025.11.22-23希望創発研究会(11月例会・対面)を実施

ホーム > 希望創発研究会 > 例会実施報告

2025.11.22-23希望創発研究会(11月例会・対面)を実施

公開日 2025年12月12日

   

 11月22日(土)-23(日)、希望創発研究会(11月例会・対面)を実施し、県外企業人、高知県内企業人合せて13名、学生15名、その他関係者12名の計40名が参加しました。

今回は、各チームの研究テーマに向けた調査のために、高知県内各所(香美市、四万十町、奈半利町、本山町、大豊町)に赴きました。各チームの訪問レポートをご覧ください。

 

【チーム1】
 チーム1は11月22日に高知県香美市物部町を訪問した。人口減少と高齢化により、かつて「ゆず日本一」を誇った物部町で管理しきれない畑・ゆず樹園が増えている現状を確認した。状況は黄色信号を通り越し赤信号という深刻な状態。収穫しきれずに放置されているゆずに対して若い世代や外部人材の協力を得た取り組みが進められている。このような背景の下、本報告では午前に行ったゆず収穫体験と午後の散策・意見交換等の様子をまとめる。

 午前は手袋や高枝切り鋏等を用いてゆずの収穫を実施した。現地で地域支援員の近藤氏、地元の公文宏信氏と合流し、公文氏からは「地域の現状を知りつつ楽しんで欲しい」との言葉をいただいた。収穫体験では参加者から驚嘆の声が上がった。ゆずの棘が想像していた以上に長く鋭かったためである。過酷な作業環境や草刈りの有無による畑の差を実感する一方、88歳の公文氏の現役ぶりには圧倒された。収穫体験後には公文氏が管理する紫水苑内の温古庵で昼食をいただいた。町の実態として鹿や猪の生息数が住民より多いこと、害獣として課題がある反面で貴重な食料源となっていることを伺った。鹿や猪を使った汁物・炒め物・さつまいもご飯はどれも好評で、おかわりをする参加者もいた。

 午後は紫水苑を散策した。「花は元気の源」として通年花の手入れを行う公文氏の拘り、鹿の角から鹿の年齢がわかる等の知識に興味を示し聞き入っていた。ワークショップでは「縄ない」に挑戦した。はじめは公文氏の手本を見て形にしようと取り組むものの苦戦。助言(何も考えずに手を動かす)や近くでの実演もあり最終的にほとんどの参加者が成功した。最後は地域住民の溝渕氏が司会を務めリレー形式で体験の感想や質問を述べる意見交換会を行った。観光計画を立案する立場の課題やインフラ整備、教員・学生からの提案等が交わされた。現地で体験した温かいおもてなしに包まれ、参加者一同は名残惜しさを感じつつ現地を後にした。

 

 

【チーム2】
 チーム2は高知県須崎市および四万十町を訪問しました。
1日目は須崎市にて、須崎市役所の有澤聡明さんにインタビューを実施しました。有澤さんからは、「須崎市と都会に共通する善とは何かを常に問い続ける姿勢」や、「まずはブームに乗ってみる柔軟性」、「SNSを通じた発信力の重要性」など、地域を動かすために必要な実践知を伺いました。

 また、ふるさと納税を活性化の起爆剤として捉えた発想や、空き家を文化発信拠点として利活用する取り組みなど、ネガティブをポジティブに変える発想が地域に新しい流れを生み出している点が強く印象に残りました。さらに「外から人が訪れ、地域経済が回ることが大切」という視点は、地域の持続性を考えるうえで示唆を与えるものでした。

 午後は道の駅とおわを訪れ、ジップラインで四万十川の自然を体感しました。澄んだ空気や川の雄大な景色に触れる中で、高知の“自然の力”が人の感覚を開き、思考の余白を広げてくれることを実感しました。

 2日目は(株)四万十ドラマの畦地履正会長から地域商社の取り組みについて伺いました。
 「地域商社から地域総合商社へ」と発展させてきた背景には、地域の資源を深く理解し、関わる人々の思いをつなげながら新たな価値を創る姿勢があることを学びました。また、新規ビジネスを生み出すためには“妄想力”が不可欠であること、捨てられていたモノにこそ新しいチャンスが潜んでいること、農家・企業・地域が連携しながら挑戦を続けることなど、多くの示唆を得ました。

 「どうすればできるかを考え続ける」という姿勢は、今後チームとして課題設定に取り組むうえで大きな支えになると感じました。

 今回の2日間を通じて、地域の挑戦は“人を巻き込み続ける仕組みづくり”と“前向きに転換する力”に支えられていると再認識しました。現地での学びを踏まえ、チームとしての問いをさらに深め、今後の活動に活かしていきたいと思います。

 

【チーム3】
 11月22日、高知市ぢばさんセンターで開催された「こうち生協ありがとうフェスタ~養殖キャラバン~」に参加した。当日は養殖キャラバンの企画として、養殖魚の展示と折り紙コーナーを設置し、親子連れや幅広い世代が立ち寄りやすい雰囲気であった。来場者には「人と人とのつながり」をテーマにインタビュー調査を実施し、特に親を対象に日常生活や地域における交流について意見を伺った。調査中、我々が子どもたちに折り紙を教えることで、親は安心して回答でき、結果として約80名から回答を得ることができた。今後は内容を精査し、地域活動やチームの企画立案に活かしていく予定である。

 翌23日には、安芸郡奈半利町で農業に取り組む芝間万里絵さんを訪問した。芝間さんは東京生まれで、企業勤めやワーキングホリデーを通じて、自身の価値観が大きく変化した経験を語ってくれた。特にオーストラリア・パースでの生活では、17時に仕事を終えて海を見に行くような、仕事と生活のバランスが取れた文化に触れ、「豊かさ」や「幸せ」の基準が大きく揺れ動いたという。現地の人との交流を楽しみながら、言語や働き方を自ら学び取る姿勢は、その後の生き方にも強く影響している。

 帰国後は逗子で市民農園を経験し、地域の大人たちが自由にやりたいことに挑戦する姿から、「つながりの質」の大切さを学んだ。その後、海と温暖な気候を求めて各地でファームステイを行い、高知との縁が生まれた。四万十町での農業研修や日曜市での交流を通じて人とのつながりが広がり、現在の就農へと至ったという。

 高知では山の人と海の人の気質の違い、食材を分け合う文化、人を気遣う“良いおせっかい”など、地域特有の温かさを強く感じている一方、移住者として地域に溶け込む難しさも実感している。芝間さんは「農業は楽しく、やっていれば何でもできる。つながりがあれば可能性は広がる」と語り、日々の暮らしに充実感を持ちながら未来を前向きに捉えていた。今回の訪問は、地域で生きる人々の価値観やつながりの形について、多くの学びを得る貴重な機会となった。

 

【チーム4】
 チーム4は11月23日(日)に高知県本山町の汗見川ふれあいの郷 清流館(集落活動センター汗見川)を訪問しました。10月にも訪問した場所ですが、今回は本山町に移住してきて地域で長年作られてきた「清流みそ」の生産を引き継いだ川端さんへのインタビューと、汗見川地区の活動の一部を体験できる「そばの脱穀&そば打ち体験」に参加するために訪問しました。

 川端さんへのインタビューでは移住してきた経緯や、地域での活動の中でみそ作りを引き継いだ経緯、汗見川地区の良いところやこれからの課題・期待など、さまざまな話を聞かせていただきました。

 そばの脱穀体験は、刈り取って乾燥させたそばの茎(ここまでは完了済)を棒で叩いて茎から実を外す作業、篩(ふるい)を使って茎や葉などの大きなゴミを除く作業、箕(み)を使って細かいゴミを吹き飛ばして除く作業を体験しました。メンバーの1人はそばを棒で叩く作業だけで身体が痛くなるなど、農作業の大変さを体験することができました。
そば打ちも全員体験しました。生地がきれいに四角形に伸ばせなかった人、切る作業で麺が太くなった人、きれいなそばを完成させた人など、出来上がりは人それぞれでしたが、調理した蕎麦は思った以上にコシもあり、おいしくいただくことができました。

 集落活動センターでの活動を実際に経験できただけでなく、作業の合間での会話や川端さんへのインタビューを通じて、地域のことをより深く知ることができた有意義な訪問となりました。

 

【チーム5】
 チーム5では、10月に訪問した大豊町について、地域の歴史とこれから、住民の声をより深く知るため、定福寺を訪問して住職の釣井様にお話を伺ったり、道の駅土佐さめうらで街角インタビューを実施したりして、チームで考えてみたいテーマについて考えました。

 大豊町への2回の訪問を通じて、想いを持って精力的に活動を続けている人々にお会いし、広く知られていない地域の日常の中に魅力があることを知りました。チームでのディスカッションを経て、人や体験を軸にした今までにない地域の魅力の発信プラットフォームがチームとして取り組みたいテーマとして挙がっています。「地元に住む人と訪れる人両方にとって意味のある持続可能な取り組みにしたい」「関係人口を増やしていくために、さまざま立場の人が一緒に考え、相互理解のためのコミュニケーションが必要」「外の視点から地域の魅力が再発見され、地元の人の誇りや愛着につながる」といった意見があり、チームの中で共有されました。今回共有したキーワードやテーマについて、考えを深めることで具体的なサービスや継続的な仕組みまで落とし込むことを目指します。

上へ