研究紹介

Reganase-1 (Reg1)の役割について

Reganase-1 (Reg1)の役割について
担当:高石 樹郎

Reganase-1 (Reg1)はRNA分解酵素の一種で免疫細胞ではサイトカインやケモカインなどの炎症に関連する分子の制御に関わることが知られていた。このReg1が表皮角化細胞においてどのような役割を果たすのか、Reg1欠損マウスを用いて検討を行った。
イミキモドやホルボールエステルなどの炎症刺激に対してReg1欠損マウスでは皮膚炎が増強された。これはさまざまなサイトカイン、ケモカインmRNAの分解制御が破綻したためと考えられる。
表皮角化細胞においては、Reg1の直接のターゲットとしてIl1aを、間接的なターゲットとしてIl36aを新たに見いだした。Reg1の発癌への関与は化学発癌モデルおよび紫外線発癌モデルにて検討した。Reg1欠損マウスではいずれのモデルにおいても造腫瘍性が亢進した。化学発癌モデルにおいてはReg1のターゲットであるCox2遺伝子(Ptgs2)の関与を明らかにした。

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  • Keratinocyte Regnase-1, a Downregulator of Skin Inflammation, Contributes to Protection against Tumor Promotion by Limiting Cyclooxygenase-2 Expression. Morisaka H, Takaishi M, Akira S, Sano S. J Invest Dermatol. 2023 May;143(5):731-739. doi: 10.1016/j.jid.2022.11.007.
  • Regnase-1, an Immunomodulator, Limits the IL-36/IL-36R Autostimulatory Loop in Keratinocytes to Suppress Skin Inflammation. Takaishi M, Satoh T, Akira S, Sano S. J Invest Dermatol. 2018 Jun;138(6):1439-1442. doi: 10.1016/j.jid.2017.12.033.